米国FDAが薬用石鹸に使われている19の成分を使用禁止にしたことから、日本の厚生労働省でもこれらの成分を薬用石鹸に使用することを自粛するよう各石鹸発売会社に要請しました。
どうしてこれらの成分を使用してはいけないのか、どのような悪影響があるのか
そして、私たちが普段使っている薬用石鹸は危険ではないのか、そして、これらの危険な?成分が入っていない安全な薬用石鹸はあるのでしょうか
薬用石鹸に含まれる殺菌成分に効果無し?米FDAが使用禁止に
米国FDA(食品医薬局)では、19種類の殺菌成分を成分に含む石鹸について、1年の猶予を設けて販売禁止にしました。
禁止にした理由については次章で詳しく説明します。
これを受けて、日本の厚生労働省でも、薬用石鹸に含まれる19種類の殺菌成分を1年以内に切り替えるように各製造会社に要請を行いました。
要請とは言え、健康に関わる製品ですから、各社とも要請に従うものと考えられますが、1年くらいは問題の成分が入っている製品が販売され続ける可能性があります。
では、どのように問題のある薬用石鹸を見分ければ良いのでしょうか
問題になっている成分のうち、国内で販売されている薬用石鹸に含まれている成分はほぼ2種類と言われています
(19種類の成分のうち残りの17種類は日本国内ではほとんど使用されていません)
国内で主に使われている主な成分(2つ)
・トリクロサン
・トリクロカルバン
石鹸は化粧品になりますが薬用石鹸は医薬部部外品に分類され
薬用成分はパッケージの裏側に
「有効成分」として表示が義務づけられていますから、裏側に細かい文字で書いてある説明部分に明記されています。
薬用石鹸に含まれるトリクロサンは危険で抗生物質を効かなくさせるのでしょうか
米国FDAが19の殺菌成分を使用禁止にした理由は3つあります。
1 普通の石鹸より殺菌効果が高いという根拠がない
実験の結果、普通の石鹸より殺菌効果が高かったという結果が得られなかったと言うことです。
2 ホルモンに悪影響がある可能性がある
マウスによる実験で、トリクロサンをマウスに投与したところ、甲状腺ホルモンの分泌が減少しました。
マウスでの実験結果ですから、これが直ちに人間に当てはまるかどうかは不明ですが
人間に同じような結果が出たとすると、甲状腺機能低下症になり
低体温症や活気がなくなるなどの副作用が出てくることになります。
3 耐性菌を増加させる可能性がある
黄色ブドウ球菌にトリクロサンを加えると5分後には耐性菌が増えるという実験結果があります。
例えば人間の体内で耐性菌が増えると、病気の治療などの際に、病原菌などの繁殖を抑える抗生物質に耐性がある耐性菌が増加して、抗生物質が効かない状態が出てくる可能性があります。
ですから、今回禁止になった殺菌成分は、殺菌の効果が普通の石鹸と変わらない上に、ホルモンの分泌に悪影響を与えたり、耐性菌を増やして、かえって病気などを悪化させる結果になる場合が考えられることから
米国では禁止
日本では取り敢えず切り替え要請ということになりました。
日本で発売されている薬用石鹸は危険なの?
日本の厚生労働省や石鹸洗剤工業会では、40年程前から、これらの殺菌成分が入っている製品が販売されているが、これまで健康被害の報告はないとしています。
とはいうものの、ハンドソープとか大量に使用するものでもありませんし
甲状腺ホルモンが多少減少したり、抗生物質が効きにくいなどという症状が出たからといって、個人差もありますし、病院で問題になるとも思えません
ましてやハンドソープと結びつけて考える人もいないでしょうから、健康被害の報告は無いと言われても、
「ほんまかいな」という気がする人も多いと思います。
さはさりながら、これまで使ってきて大きな問題も無く、そういう可能性がわずかに有るというだけで、心配しすぎるのも考え物です。
ただ、それでも気になるという人は、ハンドソープの裏側に記載されている「有効成分」に
・トリクロサン
・トリクロカルバン
という成分が含まれていないかどうか確認してみてもよいかもしれません
因みに、日本で販売されている主な製品について、殺菌成分の状態をまとめてみると
ミューズ
ナイーブ薬用ハンドソープ
については、厚生労働省の認可を得ている成分で問題は無いが、成分の切り替えを行うとしています。
ミューズ
ナイーブ
花王のビオレU泡ハンドソープ
昨年、成分を切り替えており、現在販売している製品に今回問題になっている成分は含まれていません
ライオン キレイキレイ
もともと、問題の成分は使用していません
なお、厚生労働省としては、チームを作ってこれらの殺菌成分について、有効性や安全性を確認するということです。
まとめ
米国FDAは19種類の殺菌成分を
石鹸より殺菌能力が高いという根拠がない
ホルモンの分泌に悪影響が出る可能性がある
耐性菌を増加させる可能性がある(抗生物質が効きにくくなる可能性がある)
という3つの理由から1年間の猶予を設けて使用禁止を命じました。
これを受けて日本の厚生労働省では薬用石鹸の製造会社に対して1年以内に使用を自粛するよう要請しました。
国内で薬用石鹸に使用されている主な成分は
トリクロサン
トリクロカルバン
の2つが主なものですが、使用していないか既に使用をやめている会社があるほか、使用している会社についても、これらの成分を使用しないようにすることに決定しました。
これらの殺菌成分は使用しても大きな影響が直ちに出ることはなさそうですが
該当する会社が対応を完了するまで、当面は、トリクロサンなどを使用している薬用石鹸が出回ることになりますから
どうしても気になる人は、パッケージ裏側に記載されている有効成分の名前を確認する必要があるようです。
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