化粧品やシャンプー、柔軟剤などに含まれる合成香料の危険性が問題になっています。
とはいうものの天然香料も危険だという話や、安全基準があるから合成香料は安心だという話も聞きます。
合成香料は健康に害はないのか、アレルギーの原因にはならないのか
合成香料の安全性や危険性などについてについて解説してみたいと思います。
香料とは合成香料や天然香料のメリットデメリット
香料とは
香料には食品に使われる食品添加物(フレーバー)と食品以外のものに使う香粧品香料(フレグランス)にわけられます
また香料には天然香料と合成香料という分け方もあります。
天然香料とは
天然香料は植物から得られるものと動物から得られるものがあります。
動物から得られる香料
動物から得られる香料としては
・ジャコウジカ(ムスク:じゃこう)
・ジャコウネコ(シベット:れいびょうこう)
・ビーバー(カストリウム:かいりこう)
・マッコウクジラ(アンバーグリス:りゅうぜんこう)
などが有名ですが、動物の数が減少していることや、保護のため、現在ではほとんど使われていません
植物から得られる香料
植物から得られる香料の例としては
・花:バラ、ジャスミン、キンモクセイ
・花蕾:カシス
・全草:ペパーミント、スペアミント、シソ、ローズマリー、セージなど
・葉:ローレル、ユーカリ
・樹皮:シナモン、キハダ
・根茎:ジンジャー、ターメリック
・果実:オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、バニラ
・種子:ナツメグ、ビターアーモンド、マスタード
などがあり、ご存知のものも多いと思います。
天然香料のメリットデメリット
天然香料は実質的に植物由来の香料になります(動物由来の香料はほとんど使われていない)
天然香料のメリット
天然香料は、合成香料のようなどぎつい香りではなく、自然の中で感じる草木の心地よさを思わせるものです。
自然の生み出した複雑な香りは、柔らかな香りで心地よさを感じます。
また天然の香料は後に残らない爽やかな香りです。
天然香料のデメリット
・収穫に時期が限られていたり、天候などにより安定して供給することが出来ない
・植物から抽出できる量が少ないため、価格が高価になる。
・産地やその年の気候などにより品質にばらつきがある
・天然物であるために品質の維持、保管が難しい
・自然でほのかな香りであるため、合成香料の強い香りに慣れた人だと物足りなく感じる
合成香料の強い匂いに慣れている人だと天然香料だけの場合、ほとんど香りを感じられなかったり、物足りなく感じたりすることもよくあるようです。
合成香料とは
合成香料とは香料のうち人工的に生成、製造される香料をいいます。
世界で流通している合成香料は約500種類、そのうち日本で製造しているものは320種類ほどあるといわれています。
いかに日本人が香りに敏感かということの裏返しかもしれません
合成香料のメリット、デメリット
合成香料のメリット
・合成香料は工業的に作られるために、製品にばらつきがなく、安定した品質を保つことが容易です。
・工業的に合成できるため安価に大量生産することが可能です。
・人工的に様々な香りを作り出すことが出来る。
・容易に強い香りを作り出すことが出来る
・長期間香りを保つ事が出来る。
・成分が明確なのでアレルギーなどが無ければ比較的安全だといわれている
(天然の香料の場合は様々な成分が折り重なって出来ている場合がある)
合成香料のデメリット
・天然香料のような自然さは少なく、不自然な香りになりやすい
・香りが強すぎて鼻につくことがある。
・香りが必要以上に長く残ってしまうことがある。
↑上記2点から、本人が気が付かなくても周りに迷惑をかけていたり、残香がいつまでも消えず、香りを消すために困ってしまうことがある。
また体臭やタバコの臭いなど、別の臭いと混合して悪臭となって残留する場合があります。
また、これらの特性は単純なものではなく天然香料も合成香料もメリットがデメリットに、デメリットがメリットにもなり得る場合があります。
合成香料の危険性、身体に害はあるのか
合成香料のメリットとして成分が明確なのでアレルギーなどがなければ比較的安全だといわれているといいましたが
実際は化粧品やシャンプーなどに含まれている香料(ほとんどは合成香料)は
各企業がそれぞれの技術を使って混合した、香料を合成したもので、どのような成分が含まれるかは秘中の秘となっています。
ですから、化粧品やシャンプーなどに表示してある成分表示についても単に「香料」とのみ記載されていて
どのような成分が含まれているかは分かりません
それはそれで、各製造会社で安全性は確認されていると思いますが
長期間使用したり、アレルギーのある人がその香りに接したときにどのような影響があるかは分かっていません
特に最近は、香料による健康被害が一部でうったえられているとはいうものの
合成香料を使用している企業には大企業が多く、マスコミへのCM出稿も多いことから
テレビなどで合成香料の悪影響などが報道されることはあまりありません
しかし、単にきつい香水の匂いが他の人の鼻について、迷惑になるだけでなく実際の健康被害についても様々な報告があります。
これらの健康被害について列挙してみると
・強すぎる香りによって頭痛や吐き気、集中力の低下などがおきることがある。
・化学物質過敏症を引き起こすことがある(香料アレルギー)
化学物質過敏症になると、対象となる臭いをわずかでも嗅ぐことによって、頭痛や吐き気をもよおすようになります。
詳しくは次章で解説します。
・呼吸器への刺激により気管支炎などに罹患することがある。
・化学物質が体内に蓄積することによる生殖機能や胎児に悪影響がある可能性がある。
・目の粘膜や、皮膚への刺激により涙が止まらなくなったり炎症を起こしたりする。
・発がん物質を含む可能性がある。
もっともこれらの悪影響は、経験的に知られていることで有り、明確な研究結果などに裏打ちされたものではないので
必ずそのような不具合が発生するものでもありませんし、根拠を示せと言われると曖昧な部分が多いのも確かです。
合成香料とアレルギー
合成香料の悪影響の中でもアレルギーについてはいわゆる香料アレルギーとして比較的広く知られています。
香料アレルギーの原因は香料に含まれる化学成分がアレルゲンとなってアレルギー反応を引き起こします。
そしてこのアレルギー反応を化学物質過敏症といいます。
注:天然香料によってもアレルギーや過敏反応が起きる場合もあります。
合成香料がよく使われる用品
合成香料がよく使われている用品としては
シャンプー/リンス/整髪料/歯磨き粉/化粧品/ハンドクリーム、衣類の柔軟剤/制汗剤/消臭剤
得に問題になっているのは衣類の柔軟剤に付けられている合成香料で、最近は香りの良い、かつ長く匂いの残る柔軟剤が好まれている反面
近隣の住宅の洗濯物の柔軟剤の匂いで過敏症を発症したり、飲食店や電車の中で周りの人が付けている香水や衣類に付いている柔軟剤の匂いがアレルゲンになっている場合も増えています。
因みに、化学物質過敏症・環境アレルギー外来でも、以前は一番多かったシックハウス(新築の家に使われている壁紙や接着剤の成分によるアレルギー)に代わって
現在では柔軟剤などに含まれる香料による「香害」によるものが20%を越えるようになってきているということです。
(日本アトピー協会)
合成香料によるアレルギーの症状
咳/喉や鼻が痒くなったり炎症を起こす/息苦しさなどの気管支の症状/動悸/めまい/吐き気/手足の冷えやしびれ/目がチカチカする/頭痛/睡眠障害/うつ状態/皮膚の発疹/皮膚のかゆみや腫れ/アトピー性皮膚炎
まとめ
日本人は匂いに敏感で、良い香りを好むといわれています。
しかし合成香料が発達している現在、過剰に合成香料が使われ
またそれに慣れってになって、更に強い匂いや、長期間継続する合成香料が使われるようになっています。
SNSなどを見ていると「よい香りが長く続くシャンプーはないですか」などという質問をしている人をよく見掛けますし
洗濯するときに、衣類の香りを強くしたいから規定量以上の柔軟剤を入れる人なども結構いるようです。
オーロラシャンプーは泡立ちが悪くて香りがしないのになぜ評価が高いのか
香りを楽しむのは良いのですが、強すぎる香りは場合によっては周りの人の迷惑になったり、皮膚を傷めたり、アレルギー症状を起こす場合もあるということは知ちゅういしておいた方が良いと思います
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