皮膚に傷などを負うと、皮膚の原料となるコラーゲンが皮膚の中で作り出されて、傷を修復する原料になります。
ところが最近の研究で、コラーゲンを食べ物などで摂取すると、皮膚におけるコラーゲンの生成が活性化され、皮膚に出来た傷などの治りが早くなることが知られてきました。
コラーゲンを食べれば体内のコラーゲンが増えるのは当たり前じゃないかと思う人もいるでしょう。
しかし、コラーゲンは胃の中に入ると分解されてアミノ酸になってしまいますから、別にコラーゲンで無くても、様々な種類のタンパク質を食べれば良いという話しになるような気もしますね。
そこで、なんでコラーゲンを食べると傷の治りが早くなるのか、あるいはコラーゲンでなくても他のものでも傷の治りは早くなるのでしょうか、そんな疑問に答えてみたいと思います。
皮膚などの傷の修復にはコラーゲンが必要
皮膚の真皮の部分は主に、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸から作られています。
そして、皮膚などに傷が出来ると、傷を治すために、皮膚細胞を作り出している繊維芽細胞が、皮膚の原料となるコラーゲンなどを活発に作り始めます。
コラーゲンは肌の弾力を守るためのいわばスプリング、建物に例えれば柱のようなもので、皮膚の70%はコラーゲンから出来ています。
また、エラスチンはコラーゲンに絡みつくように存在して、コラーゲンが皮膚の形を保つための接着剤のような働きをしています。
ヒアルロン酸はコラーゲンで埋め尽くされている皮膚の間を水分と共にうめるような形で、肌の弾力を保つために存在します。
怪我をすると繊維芽によって作られたコラーゲンなどによって、皮膚細胞の修復が始まり、この時に毛細血管などの修復も行われ
回復した毛細血管によって、皮膚細胞を作り出している繊維芽細胞にさらに活発に栄養素が送り込まれ、皮膚細胞の増殖が相乗効果的に早くなっていきます。
感覚的にも、傷を負った後、最初はなかなか回復しないのに、ある程度回復が進むとあっという間に傷跡が治るということは皆さんも経験したことがあるかと思います。
コラーゲンを摂取することで傷の治りが早くなる理由
従来は、コラーゲンを食べ物として摂取しても胃の中でアミノ酸に分解されて吸収されるだけなので、皮膚の活性化に直接は関係ないと考えられていました。
ところが近年の研究で、コラーゲンを摂取したあと、分解されて出来るコラーゲンペプチドが全てアミノ酸に分解されるわけでは無く、一部はコラーゲンペプチドの形のまま、血液中に放出されることが分かってきました。
ですから、コラーゲンを食べることで、体内のコラーゲンの原料が直接的に増えることとなります。
さらに、体内のコラーゲンの原料(コラーゲンペプチド)が増えることで、コラーゲンを作り出している体内の繊維芽細胞が活性化されて、コラーゲンなどの皮膚の材料になる物質の生産が増えることが研究で観察されています。
ですから、コラーゲンを摂取することで、傷を修復するための皮膚の成分が豊富に作られ、傷の修復が早くなるという好循環が生まれることになります。
参考:コラーゲンが分解されるとどうなる
皮膚などに存在するのは、いわゆるコラーゲンといわれる物質ですが
コラーゲンが分解されると
→ゼラチン
→コラーゲンペプチド
→各種アミノ酸
という風に変化し
・コラーゲンのままだと体内の中で分解する必要がある。
・ゼラチンは、通常は水分などと結合して体積が大きくなるので、たくさん摂りにくい。
・コラーゲンペプチドだと効率的にコラーゲンの原料を摂取することが可能になる。
という特徴があり、サプリメントはコラーゲンペプチドという形で提供されることが多くなっています。
サプリメントのコラーゲンは価格が高い
そんなこんなで、コラーゲンはサプリメント(コラーゲンペプチド)で摂取するとよいというイメージがあり、美容のためなどのサプリメントとして販売されている「コラーゲン」は結構高価なものとなっています。
ですが、結局は体内に入って分解されれば
コラーゲン→ゼラチン→コラーゲンペプチド
となるわけで
多少効率は悪くなるとはいうものの、豚骨のエキスでコラーゲンを摂取するのも、ゼリー(ゼラチン)などで摂取するのも最終的には大差ないという結論になります。
コラーゲンやゼラチンを意識的に食べ物に入れる
傷を負った皮膚の生成にはコラーゲンを摂取することで効果が上がります。
コラーゲンたっぷりの食材を料理に使ったり
コラーゲンをたっぷり含む食材
・鶏の皮
・手羽先
・牛すじ
・うなぎ
・魚(サケ、アジ、イワシ、サンマ:特に皮の部分)
などがあります。
あるいは粉末のゼラチンで、ゼリー状のお菓子を作ったり、面倒なら料理に粉末をふりかけるなどの方法もあります。
ゼリーを作るなら、水またはお湯でゼラチンを溶かして、コーヒーや牛乳などと混ぜて入れ物に入れて冷蔵庫で冷やせば簡単に出来上がります。
あるいは鍋などに調味料のように振りかけても良いでしょう。
コラーゲンに比べてゼラチンの粉末はAmazonや楽天などでも比較的安価に入手できます。
コラーゲンの摂取で効果があるのはコラーゲンを必要としている人だけ
コラーゲンを摂取すると、さらにコラーゲンの生成が活発化するということで、まあ、皆さん考えるのは美容目的ではないでしょうか(^_^;)
美しい肌をさらに美しくするためにコラーゲンを摂取しようと思うのは自然なことで、実際、多数の種類のコラーゲンサプリなどが売られています。
ただし残念なことに、コラーゲンの摂取によって、コラーゲンの生成(繊維芽細胞の活性化)が行われるのは、怪我をして、傷を修復したりするために繊維芽細胞が活発に働いていたり、コラーゲンが不足している人には効果があるようです。
なので、美しい人?がさらに美しくなろうとして、サプリメントとしてコラーゲンを食べても、効果は限定的で、目に見える効果はあまり期待できないようです。
まとめ
怪我をして傷が出来た時に、コラーゲンを摂取することで、傷の治りが早くなることが期待できそうです。
このコラーゲンはサプリメント(コラーゲンペプチド)で摂取しなくてもゼラチンや食べ物に含まれているコラーゲンでも結果的に分解されてコラーゲンペプチドになって体内に吸収されていきます。
ですから、高価なサプリメントで無くても、コラーゲンが豊富に含まれる食べ物を食べたり、料理にゼラチンを使う事によっても、同じような効果が期待できます。
傷の治りがイマイチ良くないという人や、最近、肌がものすごく弾力が無くなって垂れてきたというような人は、サプリやあるいは料理にコラーゲンが豊富に含まれる食品、ゼラチンを活用することも考えてみてはいかがでしょうか
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