ランニングが好きで、毎日走っているけど、何度も膝関節を痛めて、思うように走れない人、
もしかしたらランニングフォームがオーバープロネーション(過回内)になっているのが原因かもしれません。
オーバープロネーションになるとどうしても膝関節や股関節が開き気味になり、そのまま走り続けていると膝に負担がかかりやすくなります。
そして無理な力がかかり続ける結果、膝を痛めてしまう原因になります。
オーバープロネーションがなぜ膝関節に悪影響を与えるのか、そのメカニズムと改善する方法について説明してみます。
オーバープロネーションだと膝関節が開いてしまう理由
オーバープロネーションとは、簡単に言うと、走っているときに後ろから見ると足底が内側にローリング(回内)している状態を言います。
オーバープロネーション(過回内)だと、どうして膝関節が開いたランニングフォームになってしまうのか
基本的にオーバープロネーション(過回内)になるのは、足首や足裏の筋肉が相対的に弱いことが原因になっています。
もうすこし説明すると
走るときに真っ直ぐ足を蹴り出そうとすると足首や足裏に強い負荷がかかります。
ところが足首や足底の靱帯や筋肉が相対的に弱くなっていると、走っているうちに足首や足の裏を真っ直ぐに蹴り出すことがキツくなってきます。
その時に起こりやすくなるのがオーバープロネーション(過回内)です。
オーバープロネーションの人の足の動き(左足の例)
この時の動きを説明すると
かかとで着地したあと、重心は前方に移動します。
所が真っ直ぐに足を蹴り出すと足裏の筋肉や足首に強い負荷がかかることから
真っ直ぐに足を蹴り出さず、足の裏を内側に回転させるように(回内)動かして、重心を足の親指の内側に抜けるように動かすようになります。
重心を足の内側に抜けるようにして走れば、足首をしっかり後ろに蹴り出していませんから、足底などにかかる負荷が減少します。
プロネーション(回内)することで足首を真っ直ぐ後ろに蹴り出してないので、足をしっかり上げなくても足の指先が地面に引っかりにくくなるというメリット?(手抜き・・足抜き)も出てきます。
そうなると益々足首や足底の筋肉にかかる負荷が弱くなり、さらに足首や足底の筋肉が弱くなるという悪循環に入ります。
原因としては、こどもの頃の運動不足や怪我で足をかばった動きを続けてしまった、あるいはふかふかのクッションの付いた靴やスリッパなどで足の裏が過保護になってしまったことなどが考えられます。
さて、オーバープロネーション(過回内)の場合、左右の足が交互に内側に重心が移動するような動きをすることになりますが
右足と左足ではまるっきり反対方向に重心が移動しますから、そのままでは当然走りにくいです。
これを解決するためには膝関節をやや開き気味にして、足をハの字にして走れば、この矛盾は解決します。
足を開いた形で走れば、左右にぶれることなく、重心は真っ直ぐ前方に移動します。
ということで、オーバープロネーションになるとどうしても膝関節が開き気味のランニングフォームになる。
あるいは、ひざ関節を開かないで真っ直ぐ走れば、力が身体の外側に働き、蹴り上げた足が外側に流れるという動きになりがちです。
膝関節が開くと関節を痛めてしまう理由
オーバープロネーションになると膝関節が開いたランニングフォームになりやすくなります。
ここまで説明すれば大方の察しは付くと思いますが
関節は基本的に一つの方向(前後)にしか動かないように出来ています。
例えば腕の肘を動かすときには同じ方向にしか曲がらないはずです。
横方向にはには動きません。
動いているという人は、それは肩関節の方が動いているからですよ(^^;)
同じように膝関節も同じ方向にしか動きません
動かしてみれば分かりますが膝まんじゅうの後ろ側にしか動かないと思います。
動くという人は股関節の方を動かしていませんか(^^)
椅子に座って膝を固定して動かしてみればよく分かると思います。
ところがオーバープロネーションのままランニングをすると、膝関節が開いた状態のまま前方に進む・・
つまり両膝の動く方向と、走っている方向には、ずれがあるということになります。
当然、膝関節には動かない横方向に負荷がかかり続けることになり、膝関節に本来は動かない横方向への力が加わり続ける結果、いつしか膝関節を痛めてしまうことになります。
また、通常の関節の動きとは異なる動きをすることで周囲の筋肉を正常に使う事が出来ず、関節に体重をかけ、関節を軸にして動かすような状態になります。
そして、膝関節周囲の筋肉があまり使われず、膝関節自身に体重を掛けるような足の動きになることも膝を痛める原因になっています。
例えば、片足の足首を痛めた時を想定して、足首をかばうようにゆっくり歩いてみれば膝の関節部分に体重をかけるような動きになることが分かると思います。
膝関節を痛めないためにオーバープロネーションを改善する方法
足を真っ直ぐに出す走り方を練習する
オーバープロネーションは長年の習慣ですから、正しい走り方を練習する必要があります。
まずは真っ直ぐ足裏を後ろに蹴り出すことを意識してランニングを行います。
ランニングの時だけでは無く、最初は普通に歩いている時に意識して練習した方が良いかもしれません。
自分で真っ直ぐ蹴り出しているつもりでも、無意識のうちに内側に体重を抜くように歩いていることがあります。
コツとしては足の親指では無く、中指か薬指辺りに重心が移動する様に意識することです。
かかとをつくときもオーバープロネーションの人は外側から着地する癖が付いていますから、かかとの真後ろから着地するよう意識します。
走り始めは簡単にできるように感じますが、時間が経つうちに自然とオーバープロネーションの癖が出てきます。
また、自分では正しい足の動きをしているつもりでも、無意識のうちに足底や足首をかばうような動きになっている場合があります。
ですから、練習を続けて正しい足の動きが身についてきた頃に、以前よりも足底や足首に負荷を感じることがあります。
注意するのは、そもそも足底や足首の筋肉が弱くなっていることが原因ですから、いきなり長距離(長時間)プロネーションしない走り方(歩き方)をすると、足底筋膜や足首を傷めてしまう可能性があります。
最初は無理をしないで、取り敢えずプロネーション(回内)しない走り方を身につけることを重視して練習します。
裸足で走って(歩いて)足裏を鍛える
人間はもともと猿だった?ころ。木の上で生活していましたから、走ったり歩いたりするときに条件反射で足の指と足の裏で地面をつかむように走ったり歩いたりしています。
ところがクッションの効きすぎた靴や、自宅などでもスリッパで過ごしているうちにこの反射運動が起きなくなり、これも足の裏の筋肉を弱める原因になっています。
たまに裸足で過ごしてみると、如何に自分の足の裏が弱くなっているか実感できると思います。
常時というのは無理ですから、時々、安全なグラウンドや部屋の中で裸足走ったり、生活してみることも足裏を鍛えることになります。
オーバープロネーション用のシューズを使う
ランニングシューズにはオーバープロネーション用のシューズがあります。
特徴としては
かかとの外側がすり減らないようにかかとの外側の部分のラバーが厚くしてあるのと
内側部分に固いクッションを使う事でプロネーション(回内)しにくくなるように作られていることです。
ただし、このオーバープロネーション用のシューズを使うと
もともと、足裏などの筋肉が相対的に弱いことをカバーするためにプロネーション(回内)運動を行っているのですから、
無理矢理、プロネーション(回内)しない走り方を強制されるシューズを履くことで、逆に足裏などを痛めてしまう可能性があります。
最近メーカーがオーバープロネーション用と分かりやすく明記しなくなったのはこのためかなと個人的には疑っています。
(あくまで個人的想像です)
因みに日本人ランナーの70%は、多かれ少なかれオーバープロネーションの傾向があると言われています。
ですから、オーバープロネーション用のランニングシューズはいきなり競技などで使うのでは無く、ランニングフォームを矯正するために、軽い練習などで使う方が足のトラブルの元にならないのでは無いかと思います。
足裏を鍛える運動
オーバープロネーションの根本的な原因は足底や足首の筋肉などが弱くなっているのですから、足底や足首の筋肉を鍛えることが、当然ですが、改善対策になります。
やり方は簡単、どこでも良いですからかかとをあげて上下する運動を、暇を見つけては行います。
かかとを地面に付けないようにして50~100回程度足首を上下させます。
これを2~3セット行います。
というか、改まってトレーニングしなくても、電車を待っている間とか、誰かを待ている待ち時間などに、こまめに行っても結構な運動になると思います。
まとめ
オーバープロネーション(過回内)は元々は足底や足首の筋肉が何らかの原因で弱くなり
これらの部分にかかる負荷を軽くしようと、無意識に身体が反応した結果、このような動きになったもので
長年のうちにオーバープロネーションの癖が付いているだけでなく
ますます、足底や足首などの筋肉、骨格が弱くなり
さらには足首や膝の周辺の筋肉の発達にまで影響を与えていますから、ちょっと注意したくらいではなかなか改善しません
すぐには治りませんから、長期間にわたって足底や足首の筋肉を鍛え
正しい足の動きを意識して身につけ
さらに、正しい動きを繰り返すことで足全体の骨格や筋肉の構造を変えていく必要があります。
膝の故障はランナーにとって致命的ですし、仮にランニングをやめたとしても
オーバープロネーションは膝周辺の筋肉を使わずに関節に体重を掛けるような歩き方になりがちなので、膝の軟骨をすり減らしたり、関節の構造とは異なる動きをするので、歳をとってからも膝痛を引き起こす原因になります。
ということで、普段からオーバープロネーションを改善するような歩き方や走り方に気を付けましょう。
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