DGs17の目標の2番目は「飢餓をゼロに」ですがもう少し具体的に、いったいどういうものか説明してみます。
SDGsの飢餓をゼロにとは
SDGsの飢餓をゼロにとは、飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成すると共に、持続可能な農業を推進するとされています。
世界には8億人以上の人々が飢餓に苦しんでいる人々がいて、特にアフリカやアジアで飢餓に苦しんでいる人が多くいます。
その中でも子供は飢餓になると、病気になり、命を落とすことが多くなりますし、飢餓状態の女性から生まれた赤ちゃんは生まれたときには既に栄養不足の状態です。
飢餓のために子供達の成長が遅れたり、子供が生まれても多くが子供のうちに死んでしまうという事になれば、その国の発展にも悪影響があります。
飢餓は自然環境が厳しい地域で発生しやすくなっています。洪水や干ばつによりせっかく作っていた農業作物が壊滅状態になったり、用水路や田畑がメチャクチャになったり、農業を行うために必要な道具などもダメになってしまうこともあります。
あるいは内戦や隣国との戦争など紛争地域に住んでいる人々も、農業に専念できなかったり、農地が戦闘であらされてしまったりということで飢餓に陥りやすくなります。
また、先進国では、高度化された農業技術や機械を使って安定的に農産物を生産することができますが、発展途上国の多くでは農業の技術が低かったり、化学肥料を十分に得られないために、生産量が少なかったり変動が大きいことがよくあり、
また生産量だけでなく、貯蔵施設や運搬手段が限られているために、農産物を無駄に腐らせてしまったり、効率的に食料を分配することが出来なかったりします。
しかも開発途上国ほど人口造かが大きく、食糧不足が深刻なものとなっています。
そして、食糧不足が深刻な開発途上国などへの食糧支援も大切ですが、これらの食糧不足の国が支援だけではなく、自分達で十分な食料を調達できるよう、農業生産の知識や技術を伝えたり、保存の方法や、輸送手段の充実にも援助をすることも必要です。
つまりその場しのぎの食料援助ではなく、その国や人々が、持続的に自分達で食料を作り出すことの出来る持続可能な農業を作りあげる必要があります。
また、持続可能な農業を確立することで、そこで働く人々の収入にもなり、貧困をなくし女性の地位を向上させるなどSDGsのその他の目標を達成することにも繋がります。
飢餓を0にの具体的な目標
2030年を目標に達成しようとしているSDGsの17の目標のうち飢餓をゼロにするために掲げられているターゲットは次項で詳細を掲載しますが、簡単に解説すると
・貧困層にある人々も含めて、世界中の人が継続的に安心して食料を十分得られるようにする。
・世界の栄養不良をなくして子供や、若年女子、妊婦や小さな子供を抱えた女性や高齢者に十分な栄養が行き渡るようにする。
・女性、先住民や小規模食料生産者にいわゆる経済活動へのアクセスを可能にすることで、農業生産性や所得を倍増させる。
・農業や漁業の生産性を向上し、自然災害などへの対応力を向上させることで強靱な食料生産システムを確保する。
・食用の植物や家畜動物の種や遺伝子をしっかり管理し、これらの遺伝子資源の公平な分配を促進する。
・開発途上国などにおける農業生産能力を向上させるために国際協力を行い投資の拡大を行う。
・農産物の輸出補助金などを撤廃し、世界の市場を開かれたものにする。
・食料価格が極端に変動しないように食料市場やデリバティブ市場を適切に管理するための措置を講ずる。
SDGs飢餓をゼロにするためのターゲット
前項では簡単に解説しましたがSDGsの17個の目標を分割して具体化した169個のターゲット(小目標)が掲げられています。
この中で飢餓をゼロにするために掲げられているターゲットには以下の8項目があります。
2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
2.2 5歳未満の子供の発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。
2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
2.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。
2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。
2.b ドーハ開発ラウンドのマンデートに従い、全ての農産物輸出補助金及び同等の効果を持つ全ての輸出措置の同時撤廃などを通じて、世界の市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。
2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。
まとめ
世界にはまだまだ食糧不足で飢餓に苦しんでいる人々が大勢います。そういう人達に食糧などを支援することも大切ですが、根本的解決にはなりません。
貧困に苦しんでいる人達が、十分な食料を得られるように農業の技術を教えたり、農業を安心してしっかり行える施設や環境を整えることも大切で、世界中の人が協力してそういう支援態勢を作りあげていく必要があります。
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