マダニを介して感染するといわれるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)ですが、マダニから感染した野良猫にかまれた女性が死亡したというニュースが話題になっています。
犬や猫が結構寄生されているマダニがそんなに恐ろしい病気を感染させるとすれば、ペットの扱いにも不安な部分が出てきます。
マダニが媒介するというSFTSという病気はどのようなものか、予防や駆除は出来るのか
あるいは自分の可愛いペットは大丈夫なのでしょうか
マダニから感染するSFTSとは、死亡する事もあると聞きましたが
マダニから感染するSFTSとは、潜伏期間、症状は
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は2011年に中国の研究者によって発表された新しいウイルスによるダニが媒介する感染症です。
潜伏期間や症状
SFTSウイルスに感染すると6日から2週間の潜伏期間を経て
・発熱
・消化器の症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)の他
・頭痛
・筋肉痛
・意識障害や失語などの神経症状
・リンパ節腫脹
・皮下出血や下血などの出血症状
などを起こします。
生化学検査的には
・白血球や血小板減少
・AST・ALT・LDHの血清逸脱酵素の上昇等の他
・血清フェリチンの上昇
・骨髄での血球貪食像
などが認められることがあります。
感染経路
主なものはマダニを媒介した感染ですが
保菌者の体液への接触による感染も報告されています。
犬や猫などのペットを介しての感染は、確認はされていないものの、可能性はあるとされています。
(野良猫にかまれて死亡した女性の例は初めて確認された例)
SFTSの治療方法
SFTSを直接治療する方法は無く対症的な治療法しかありません
SFTSに有効な薬剤やワクチンはなく、最終的には個人の免疫力による回復を期待するしかありません。
SFTS発生の傾向
SFTSの発症は5~8月迄が多くなっており、地域としては西日本が多い
SFTS症例の推定感染地域(国立感染研急所のHPから転載)
SFTSの死亡例や致死率
SFTSの致死率は6.3%から30%と言われていますが、日本国内での致死率は約20%となっています。
日本での死亡例は2017年8月30日現在で
報告された感染例 298件
そのうち死亡例 59件(死亡率約20%)
感染するのは50代から増え始め60代以降の感染例が多く報告されています。
(死亡例も50歳以上のみ)
マダニにかまれるのは若い人も同じようにいるはずですから、感染しても若い人だと発症しない場合がある可能性もあります。
マダニから感染するSFTSの予防方法は
SFTSから身を守るためにはマダニにかまれないことが大切です。その為には
マダニの生息場所にはなるべく近づかない
マダニの生息場所としては
・鹿、イノシシ、野ウサギなど野生動物が生息するエリアにたくさん存在します
(マダニは吸血動物ですから当然動物のいるところに生息しています)
・民家の裏庭や裏山、はたけ、あぜ道など、特にヤブの中など
マダニの生息する場所へは肌を露出する格好で行かない
・半ズボン、サンダル履きはNG
・首にはタオルなどを巻くか、ハイネックのものを着用する
・手袋をして袖口は手袋の中に入れてマダニが入り込む隙間を作らない
・ズボンのスソは長靴や靴下の中に入れて進入出来る隙間を作らない
自宅に入る前にマダニを持ち込まないようにする
マダニが生息するような場所に行った場合は、家に帰ってきて家の中に入る前にマダニを家の中に持ち込まないように注意しましょう。
・上着や作業着は家の中に持ち込まないか、良くはたいてから入る
・屋外で作業したあとはシャワーや入浴でマダニがついてないかチェックする。
・場合によってはガムテープなどを使ってダニを取り除く
マダニから身を守る
マダニはいったん食いつくと長期間吸血をし続けます。そして気が付くと驚くほど巨大化している場合もあります。
食いついたマダニを無理に取り除こうとすると、マダニの口の部分が体内に残ったりして化膿することもあるので注意が必要です。
また、マダニにかまれたらSFTSに感染している可能性もありますから、潜伏期間の2週間程度は体調の変化に気を付ける必要があります。
虫除けを効果的に使う
2013年からディート、イカリジンの2種類の虫除け剤が認可されています。
ダニがいる様なところに行く場合は、虫除けスプレーなどを使う事も効果があります。
マダニが媒介するその他の感染症
マダニが媒介するのはSFTS(重症熱性血小板減少症候群)だけではありません
そのほかにも
・日本紅斑熱
・Q病
・ライム病
・ボレリア症
・野ウサギ病
・ダニ媒介性脳炎
・キャサヌル森林病
・クリミア・コンゴ出血熱
などがあります。
マダニの一生
マダニは卵から生まれてから
・幼ダニ
・若ダニ
・成ダニ
の各ステージで1回ずつ、死ぬまでに計3回哺乳動物から吸血を行います。
吸血する動物としては人間以外にも
野ねずみ、野ウサギ、鹿、イノシシなどの野生動物の他、
屋外を行動する猫や犬などにも寄生して吸血することがあります。
活動する季節としては3~11月に活発に活動しますが、冬季にも活動する種類がいるので油断は出来ません。
ペットをマダニから守るためにはどうする
野良猫に噛みつかれた女性が死亡した事例が発生しました。
当然ペットなどにマダニから感染したSFTSが、ペットと濃厚な接触をしている飼い主に伝染する可能性は充分にあります。
ペットにマダニがつかないようにするための予防や駆除の方法は
ペットをマダニがいる様なヤブなどに連れて行かない
屋内で飼育しているペット(犬猫など)にマダニがつくことはほとんどありません
大概は放し飼いにしたり、屋外、特にヤブなどを散歩させた時に取り付かれることが多いですから、マダニがいそうな所に連れて行かないのが1番です。
散歩する時に洋服を着せる
最近は、散歩している犬などに洋服を着せている人も多くなってきました。
一見過保護なように見えますが、事マダニに関しては、少しでも身体の露出部分を減らした方が安全です。
シャンプーなどで身体を清潔にする
のみ取りシャンプーをするのも効果があるかもしれません
ただしノミ取りシャンプーは完全ではありませんので
身体を清潔にして、マダニがついていないか良く点検して上げることも大切です。
マダニが付いていないか良く点検する
マダニが良く寄生する場所としては、犬猫の場合、耳、胸、足の付け根の内側、お尻の周りなどが寄生されやすくなっています。
マダニを発見した時には、無理矢理に引きはがすのではなく(マダニはガッツリ肉に食いついているので口の部分が皮膚に残ってしまう場合がある)
専用のピンセットで慎重に取り外したり、あるいは動物病院に行って取り除いてもらうことも考えましょう
ペット用のマダニ防止グッズを使う
ペット用の防虫スプレーやダニ予防の首輪などがありますから、これらを活用するようにします。
マダニなどの駆除薬剤を使う
動物病院などで処方されるマダニなどの駆除薬を使う事で、マダニがペットの取り付くことを防止出来ます。
ペットはSFTSに感染、発症するのでしょうか
中国ではかなりの割合で犬がSFTSに感染しているという調査報告がありますが
(中国ではマダニの発生率が極端に高いので日本との比較は困難)
日本でのペットに対するSFTS感染率の調査の報告はなく、国内でのペットのSFTS感染率は不明です。
また、これまで動物がSFTSウイルス感染による発症の報告はなく
現時点では、人だけがSFTSを発症すると考えられています。
まとめ
マダニを介して感染するSFTSは死亡率が20%にもなる恐ろしい病気です。
特に感染者や死亡例は50歳以上が多く、治療方法も無く対処療法しかありません。
屋外で作業する場合は、マダニにかまれないよう、良く注意する必要がありますし
マダニかまれた可能性がある場合は2週間程度は体調に注意(発熱や嘔吐、下痢)する必要があります。
またペットはSFTSに感染しても発病しないと言われていますが、人間に感染させる可能性もあり、ペットのマダニ対策もしっかり行っておく必要があります。
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