夜しっかり睡眠を取っているのに、なぜか日中眠くなってしょうがない
糖尿病や睡眠時無呼吸症候群を疑ってみたものの、どうもそうではないらしく、原因が分からない場合
もしかしてそれはナルコレプシーかもしれません
ナルコレプシーとは、その症状は?
ナルコレプシーは1,000~2,000人に一人がかかっているといわれる、睡眠障害です。
日中に、突然の短時間の睡眠を繰り返します。
ナルコレプシーの主な症状
・日中、仕事で重要な話をしている最中や車の運転中など、あり得ない場面で突然眠りだしてしまう。
・数分~30分以内の短時間の睡眠を行ったあと、何事もなかったように目覚めます。
・怒ったり笑ったりなどの感情の起伏がきっかけで、突然の脱力感に襲われることがある。
(情動脱力発作(カタプレキシー)
・睡眠に入る際に幻覚を見たり浮遊感に襲われ、夢と現実の区別が付かなくなったりすることがある。(入眠時幻覚睡眠麻痺)
入眠時幻覚睡眠麻痺の初期にはいわゆる金縛りと言われる睡眠麻痺(眠りに入る時に身体に力が入らなくなる、声が出ない、身体を起こせなくなるなど)がでることもある。
うつ病に伴うナルコレプシーもある
うつ病から引き起こされるナルコレプシーもあります。
特長としては
・倦怠感から眠気を感じる。疲労感が強く身体が重い
・日中長時間眠り込んでしまう(夜間もしっかり寝ている)
・夕方から夜間射かけて体調不良を起こす.
ナルコレプシーの診断
自分や周囲もナルコレプシーにかかっていると診断するのは意外と難しいです。
単なる居眠りや、寝不足、疲労などと勘違いする場合も多く
可哀想なのは、単なる怠け者と思われたり、事故を起こしてしまって職を失ってしまう人もいることです。
睡眠障害を専門としない医療機関で診察を受けても、ナルコレプシーと診断されない場合も多く、睡眠障害専門の医療機関や睡眠障害に詳しい、精神科、神経内科を受診する必要があります。
ナルコレプシーの検査方法としては主なものは2つ
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG:Polysomnography)
身体に電極やセンサーを装着して眠ります。
睡眠時無呼吸症候群の診断をする時にも使われるメジャーなやり方です。
健康保険が適用され、3割負担で2~3万円程度の費用がかかります。
チェックする内容
・眠る時にレム睡眠が現れるかどうか
・睡眠中にレム睡眠が出現す頻度
ナルコレプシーの人は眠り始めるとすぐにレム睡眠が現れますので、これが診断の大きな判断基準になります。
この検査は基本的に病院に一泊して検査を行う必要があります。
反復睡眠潜時検査(MSLT:Multiple Sleep Latency Test)
日中の眠気の強さを測定します。
日中に部屋の中で過ごして、睡眠に入るまでの時間を測定、これを繰り返し、
この間脳波、眼球運動、筋電図なども調べます。
ナルコレプシーの場合、この検査で4、5回睡眠に入るうちの2回以上でレム睡眠が現れれるのが特徴です。
この検査は前述の終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)にひき続き(翌日)行われることが多く、全部の検査には前日夜から翌日終日かかることから、
反復睡眠潜時検査も保険適用で2~3万円程度の費用がかかります。
ナルコレプシーの自己診断法(エップワース眠気尺度)
前の方で説明したナルコレプシーに典型的な症状が出る場合次の項目をチェックしてみます。
<エップワース眠気尺度>
1. 座って読書をしているとき
2. テレビを見ているとき
3. 人が大勢いる場所(会議の席や劇場/映画館など)、じっと座っているとき
4. 他人が運転する車に、休憩なしで1時間ほど乗っているとき
5. 午後、横になって休憩しているとき
6. 座って人と話をしているとき
7. 昼食後、静かに座っているとき(飲酒はしていないものとする)
8. 自分で車を運転中に、交通渋滞などで2、3分停車しているとき
これらの8つの項目について
「眠くなることはほとんど無い」:0点
「眠くなることがよく有る」:1点
「たいてい眠くなる」:3点
で計算して、11点以上有ればナルコレプシーの可能性が高くなります。
ナルコレプシーになる原因
覚醒ホルモン、オレキシンの欠乏
脳内にある覚醒ホルモンのオレキシンを作り出す細胞が、何らかの原因によって働かなくなることで発症します。
オレキシンは脳の睡眠と覚醒をコントロールしていますが、ナルコレプシーになるとオレキシンに関連した神経活動がほぼ麻痺状態になり、突然の睡眠などの発作の原因になっています。
レム睡眠の出現異常
ナルコレプシーの人の特長としてはレム睡眠が頻繁にかつ、長時間出現することが知られています。
レム睡眠が異常に出現する原因自体ははっきり分かっていませんが、レム睡眠の異常がナルコレプシーに深く関わっていることは間違い有りません。
心理的ストレス?
また、これはナルコレプシーとは直接関係が無いかもしれませんが
たまたま私の知人に成長期にストレスのかかる特殊な環境下で成長した2人の人がいます。
この2人に同じ習性があって、ストレスがかかると突然寝てしまうという癖?があります。
成長期に感じた異常なストレスから心を守るための心理的な防御反応かもしれませんが、ナルコレプシーにも、同様な心理ストレスから心を防御するための何らかの反応が働いている可能性もあります。
ナルコレプシーの症状を改善あるいは治療する方法
ナルコレプシーの症状を改善する方法
夜間の睡眠時間をたっぷり取る
当たり前ですが、夜間に質の良い睡眠をたっぷり取ることで、日中の眠気を和らげます。
また寝室はなるべく静かで、外の光などが入ってこないよう環境を整えるように工夫します。
規則正しい生活
体内リズムの乱れも、ホルモンバランスを崩したり、睡眠の質を悪化させますので、起床時間や、就寝時間を一定にする様にします。
また朝目覚めた時にはたっぷりと太陽の光を浴びてメラトニンをしっかり生成するようにします。
短時間の昼寝をしっかり取る
短時間の昼寝を積極的に取るようにします。眠気が酷くて、条件が許せば、複数回の昼寝を取ることも考えます。
ナルコレプシーを治療するために病院を探す方法
ナルコレプシーの診断や治療を受ける場合は睡眠障害を専門に看ている病院に受診します。
注意するのは、専門病院でないとナルコレプシーに関する知識や、診断技術の無いところもありますから、事前に調べるか、自分の状況を話してみて話が通じるかチェックしてみるということも必要でしょう。
受診する病院を調べる場合
「睡眠クリニック+地名」「睡眠障害+地域名」「睡眠外来+地域名」などで検索してみる。
適当な病院が無い場合は、総合病院の「睡眠外来」「睡眠科」などを受診してみる。
また、日本睡眠学会から、充分な知識・経験を持っている医師と認定されているのが「睡眠医療認定医」ですから、その線から調べて見ても良いでしょう。
まとめ
昼間の異常な眠気、もしかしたらナルコレプシーという病気かもしれません
単なる自分の怠け癖や体質とあきらめていた人もいるかも知れませんが
病気と分かれば治療は簡単・・ではありませんが、それなりに対処が可能です。
あるいはこの記事を読んだ結果、私はナルコレプシーではないなと思った人も、他の原因があるかもしれないのでチェックしてみると良いかもしれません。
参 考
昼間、異常に眠くなる病気の例
・ナルコレプシー
・不眠症
・過眠症
・糖尿病(高血糖、低血糖)
・寝不足、不規則な生活習慣、睡眠障害
・睡眠時無呼吸症候群
・うつ病
コメント