新型コロウイルスによる猛威が収まりません
そして、この影響で様々な産業に打撃が出ており、収入が減少している人も大勢います。
中にはその日の生活資金にも困っている人も多いと思います。
その対策として政府は、1世帯に30万円を現金支給するとアナウンスしましたが
配布の基準がややこしい上に、実際の所はほとんどの人が支給対象外ということが分かってきて、多くの人ががっかりしたり、あるいは政府への批判を強めています。
そもそも、どういう家庭が30万円の支援金を受け取れるのか
どうして、あのようないびつな形で支給するのか、そして、どういう問題があるのでしょうか
なぜ、一人10万円ではなく、一部の世帯にだけ30万円を配るのでしょう
4月16日に政府は一部の世帯に30万円配るのを辞めて一律10万円に変更するよう決着したようです。
どのような世帯が30万円の現金給付を受けられるのでしょう
具体的な詳細な基準については、まだ発表されていませんが、最初に公表されたのは
・住民税非課税レベルまで収入が減った世帯
・世帯主の収入が半減以下でかつ、住民税非課税額の2倍以内
となっていました。
これでは、住んでいる市町村によって金額が変わり、分かりづらいということで
4月10日に総務省から、下表の基準が発表されています。
例えば、単身者であれば、月収が10万円以下に落ちた人、あるいは収入が50%以上減少し、加えて20万円以下になった人が対象になります。
給付金を受けるには、収入の状況を証明する書類などとともに市町村に自分から申告する事になっていますが、郵送やネットを使ったオンライン申請も検討されています。
給付金は原則として本人名義の銀行口座に振り込むことになります。
政府は早ければ5月中の支給開始を目指していて、詳細な制度設計を急いでいる状況で、現時点では明確では無く、様々な批判が渦巻いていますので、今後、さらに調整が図られていくと思います。
その他、明確ではありませんが
・2~6月のいずれかの月に収入が減った場合、年収ベースに換算して基準を下回った場合などを対象(1ヶ月でも下回った場合はOKらしい)
・収入の基準になるのはあくまで世帯主のみ(批判が多いので世帯全体の収入などに変更される可能性はあるかも)
詳しくは
何で1人10万円じゃなくて1世帯30万円になったのか
一部の世帯に30万円にしたのは3兆円ありきだった?
新型コロナウイルス対策で、当初は公明党などが主張している1人10万円ずつ配布する案が目立っていましたが
気が付くといつの間にか、一部の世帯に30万円を支給するという方向に話が変わっていきました。
この時に麻生財務大臣が
「国民全員に一律給付だと記憶に残らない」と発言しています。
確かに、リーマンショックの時に1.2万円ずつ配布したとき、私自身もらったかもらっていないか全く記憶にありません
とは言え、1.2万なんて子供の小遣い程度の話で10万円ずつ、例えば4人家族なら、1家に40万ですから、記憶に残らないなんておかしいなと感じました。
しかし、これを裏読みすると、日本の予算システムでは、
政治家が
「よし、1人10万ずつ配るから財務省は準備しろ」
なんていうことはあり得ない
おそらく、政府から、
「国民にお金を配りたいけどいくらなら準備出来る?」
と聞かれて、財務省は
「その他の施策などとの兼ね合いから3兆円なら準備出来ます」
などと答えたのだと思います。
そうなると麻生財務大臣の「記憶に残らない」という発言が腑に落ちてきます
つまり3兆円を全国民に均等に配ってしまうと、1人あたり2.4万円
確かにインパクトに乏しく、記憶に残らないでしょうね。
そこで最初に出てきたのが1世帯20万円
3兆円を20万円づつ配れば1500万世帯という計算になります。
所が米国は1人1200ドル(約13万円)
夫婦2人で2400ドル(約25万円)
更に子供1人500ドル(5.5万円)ですから
平均的に3人世帯として30.5万円になります。
そうなると米国と比べるとちょっと見劣りする
それに1家に20万円という数字も、イマイチ、インパクトが少ない
という事で、もう一声で1世帯30万円になったのでしょう
ただし、その分給付世帯は減って1000万世帯に限定されます。
(最近の報道では給付世帯数が1000万→1300万世帯に増えていますが、予算を見ると、4兆円に増えているので、4兆円÷30万円≒1300万世帯に増やしたようです)
経済対策と捉えれば低所得層への配布は一応理屈は通る
また、麻生大臣は、リーマンの時にはほとんどが貯蓄にまわり、ほとんど経済対策としての効果がなかったとも発言しています。
確かに、給料の下がっていない年収700万円クラスの人が30万円もらっても、すぐに消費することはなく、貯蓄に回ってしまう可能性が高いでしょう
住民税非課税に近い低所得層でしかも所得が下がっていれば、30万円もらったらすぐに消費してしまうでしょうから経済効果は高いですし
その日の生活費にも困っている人にとっては凄く助かると思います。
しかし、今回の新型コロナウイルス騒ぎに対する現金給付は、本来、経済対策ではないはずです。
生活が困窮している人も多いでしょうが、それに加えて将来への不安や、実際に余分な支出や収入の減少にやきもきしている人も多いはずです。
今回の世帯毎に30万円支給するというやり方の問題点は
支給の基準がが公平でない
日本人の特性として、他の人と比べてどうかということを非常に気にする国民性を持っています。
それなのに、基準が不公平
・単身でも、10人家族でも世帯毎の給付なので同じ金額になる
・世帯単位なので世帯分離している人が有利
例えば4人家族で、同居している子供が就職したものの、給料が下がった場合(親は減っていない)
世帯分離(同じ住所でも別世帯で住民票を登録)していれば、子供は給付を受けられるけれど、世帯分離せず同一世帯にしていると、世帯主の収入は減っていないのでもらえない
あるいは親の世帯主も収入が減っていればダブルでもらえる人もいる。
また奥さんの収入が激減していても世帯主(ご主人)の収入が減っていなければもらえない
・収入が多い人の方がもらえることがある
単身の場合で説明すると
収入が40万円の人が19万円(半減以下で20万円以下)になるともらえるが、元々の収入の人が20万円の人が11万円(半減していないし10万円以上)になってももらえない
ほとんどの世帯はもらえない
現時点で判明しているところでは、現金給付がもらえるのは、日本全国5500万世帯のうち1300万世帯
約4世帯に1世帯です。
さすがに報道などから、高額所得者や、そこそこの収入がある人は諦めていると思いますが
まだまだ結構多くの人がもらえるのじゃないかと期待しています。
また、自分より収入が多い人がもらえて、給料が減ったけれども、基準には当てはまらない人からするとずいぶん理不尽な施策のように感じると思います。
支給の仕組みが複雑で分かりにくく時間がかかる
今回の支給の基準について、細かい点については未だに明確では無く、自分はもらえるのかもらえないのかやきもきしている人も多いでしょう
支給の仕組みや基準がややこしいことから、制度設計に時間がかかり、結局実際の支給までに日数がかかる事になります。
自己申告だと声の大きい人が得?
支給を受けるためには、役所に自己申告する必要があります。
その為には、支給の条件などを理解して、書類等をそろえて提出する必要がありますが、これだけ複雑な支給条件を、本当に皆さん理解出来るのでしょうか
中にはよく分からないけど、申請する人や、基準外だけど、ズルして書類等を作成して申請する人などもでてくるかもしれません
逆に自分が基準に当てはまるかどうかよく分からないから申請をためらう人がでてくるかもしれません
そうなるとどうしても、声のでかい人、厚かましい人(^^;)が得になっちゃうんじゃないかという心配が出てきます。
追加支給の時にやりにくくなる
財務省は追加支給を想定していて、今回、予算を低く抑えていたのかもしれない(多分違うと思いますが)ですが
経済専門家などからは、財務省への嫌みなのか、プレッシャーをかけようという意図かは分かりませんが
「2回目、3回目の給付は当然考えなくちゃいけませんね」などと発言しています。
となると、次の給付はどうなるのか
今回と同じ基準でやるなら、もらえる人は合計60万円、ギリギリもらえない人は1円ももらえないなんてことになってしまいます。
かといって、前回もらえなかった人などに限定すれば、本当に困っている人が困ってしまう
じゃあ、やっぱり広く均一に、とかなれば結局1人10万円とかにするのでしょうか
政府や自民党は大丈夫?
このブログは政治談義をやっているわけでないので、安倍さんや、自民党がどうなるかなんて知ったこっちゃないのですが
そうはいっても、実際に現金の給付が始まると、多くのもらえなかった人の不満が爆発しそうな気がします。
他人事ながら大丈夫なのかよ、それでも、今回のやり方で給付するのかなって心配しちゃいます。
ただ、現金給付の具体的な内容がなかなか発表されないのも、なるべく不公平がないよう、分かりやすい形にしようと、政府や総務省で色々考えているからなのでしょう
それで給付が遅くなるなら本末転倒なのですがね。
高額所得者からは税金で給付金を回収すれば良い
面倒くさいことしなくて、全員一律に10万円配って、後から税金で回収すれば簡単なのにって思います。
給付金を非課税にしなければ、所得が高い人からは所得税、住民税合わせて15~55%取り戻すことができますし
あとから臨時コロナ税とかで、所得税を1~2%ほど増税すれば、高額所得者からは給付金以上の金額が取り戻せるはずです。
まとめ
今回のコロナウイルス対策として1世帯30万円が現金支給されます。
ただし、支給されるのは全世帯のうちの1/4、低所得世帯の約1300万世帯になります。
今後、支給の方法については色々改善されるとは思いますが、かなり不公平が含まれる内容ですので国民の不満が高まることが予想されます。
今回、支給から漏れた人は、次回の支給が行われることを期待するしかないですが
老婆心ながら、安倍政権や自民党は大丈夫なのかしらと考えてしまいます。
4月16日追伸
結局政府は、所得制限を設けず、1人10万円ずつ配ることを決めたようですね。
当たり前といえば当たり前
あんな不公平で、しかもややこしい基準で、極一部の世帯だけに30万円配れば、国民の不満は爆発していたでしょうね。
取り敢えずは良かった。とはいうものの、速やかに10万円が支給されるのか、注目したいと思います。
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