渡辺謙さんや、武井咲さんなど大物俳優が出演した、ハズキルーペのCM
ちまたでは、色々批判もあったようですが、結果的にはハズキルーペの知名度は劇的に上昇、
専門家の評価も高いハズキルーペのCM
100億かけたCMの裏側をHazuki Companyの松村謙三会長さんが語ったところから、裏側にある本当の理由を解説します。
サラリーマンじゃあのハズキルーペのCMは作れない
マーケティング宣伝広告こそ経営トップの仕事
「担当役員や部長レベルに任せてしまうと、スポンサー企業の担当者は、CMクリエイターに丸投げしてしまう」と村松会長
大胆な方針を自らが指示して、CMが大失敗になれば、自分が責任を負わされかねません。
だからCM会社に丸投げして、うまくいけば自分の功績、失敗すれば広告代理店に責任転嫁すれば、自分が責められることはまずありません。
一方、CMクリエーターからすれば、CMで商品が売れようと売れまいと関係なし
下手なことをしてクレーム付けられるより
見てくれの良い、かっこいいCM作った方がリスクもないし、CMの作品賞を取れるかもしれません
当然、商品を売ろうとする「ダサい」CMなんて作れないし
わけの分からない、イメージに頼った意味不明の広告が増えるという寸法です。
当たり障りのないかっこいいCMでなくて、突き抜けた、ぶっ飛んだCMなんてのは経営者自身が大胆な発想で直接、要求しない限りできっこないという結論
今までの常識にない大胆なCMだから、既存の常識に囚われた人達からは
「何だあのCMは、気に入らない」
となるわけです。
また、記憶に残らないCMは反発も起こりません
良いにしろ悪いにしろ、その人の心に響いたからこそ反発する人もでて来ます。
ハズキルーペを再生させたいきさつ
ハズキルーペCMのきっかけ
オリジナルのハズキルーペは、20年以上売れ続けているものの、年間売上げが5000万円程度の商品でした(それでも単独のメガネとしてはヒット商品)
デザインもちょっとイマイチで
消費者から
「デザインがダサくてかっこ悪い、でもハズキルーペがないと困る、デザイン何とかなりませんか」
という投書があるほど
ハズキルーペ旧旧バージョン
8年程前に俳優の宝田明さんがテレビでハズキルーペのことを紹介
テレビの影響は大きくこの時ずいぶんとハズキルーペが売れたそうです。
ハズキカンパニーの村松会長はこの時
「ハズキルーペには絶対的なニーズがある」
そして
「デザインを変え、CMで有名タレントを使って認知を得れば、売れると確信」したそうです。
因みにハズキルーペのイメージキャラクターは
初代、宝田明に続き、石坂浩二、そして渡辺謙さんのCMに続いています。
ハズキルーペの見え具合
生産方法の見直し
ハズキルーペがまだ売れていなかった頃、ハズキルーペの製造は鯖江市のメガネ工場に委託製造していました。
小さな工場で手作業で作っていたため製造不良率も高く、コスト高で採算の合わないものでした。
そこで自社でレンズを作ることに
富士通から買収していた神田通信工業でレンズの設計、製造、生産をすることにして、素材から完成品に至る工程を全て担う全自動化工場を作り上げ完全に内製化(自社で設計から生産まで全てを行うこと)を実施
注:神田通信工業は防衛省に通信機器などを納入している他、医療機器、産業機器、音響機器、金型なども生産している会社です。
ハズキルーペ(カラーレンズ)
なぜ大胆なハズキルーペのCMに打って出たのか
ハズキルーペ事業も投当初は思う程売れなかった
8年前にハズキルーペ事業を立ち上げ、最初の2年間で50億円の広告費をかけ
石坂浩二さんを使って、テレビCMや全国紙などに広告を打ったが、認知度はイマイチで
この時点ではまだ知る人ぞ知る便利グッズでしかなかった。
それでも毎月、億円単位のCMを行い、取扱店舗が増えていきました。
ハズキルーペの認知度が上がるとコピー品が増えていった
CMでハズキルーペの認知度が上がり、売れ始めると、例に漏れず、劣悪なコピー商品が出回り始めることになります。
このためハズキカンパニーでは世界90カ国でハズキルーペの意匠権、商標権を獲得
とはいうものの、これだけではコピー品の繁殖を抑えることは難しい
まず、意匠権については権利が守られる期間が20年しかありません
20年経てば、誰でも同じようなものを作って販売する事が出来てしまうようになります。
類似品
不正競争防止法でハズキルーペのブランドを守る
意匠権については20年間だけという縛りがありますが、不正競争防止法の場合
「著名性」を獲得すると。有効期限はありません。
商品の形状を模倣されて不利益を被った場合、懲役刑もある厳しい法律で、この法律はパリ条約に加盟している全ての国にあります。
ただし、この「著名性」というのがくせ者で
裁判になった時に裁判官の主観がかなり影響してきます。
この時に裁判官が
「ああ、テレビCMで有名なハズキルーペね」とか
「僕も使っているよ」
とかなれば、絶対的に有利になるわけです。
逆に裁判官が
「ハズキルーペって何?知らないんだけど」
などとなれば、裁判の相手側が上手に説明出来れば
「ハズキルーペって言っても特別なものでもないし、私も知らないし」
「ちょっと似てるけど、メガネ式拡大鏡ってみんなこんな形になっちゃうんじゃない」
なんてなっちゃうかもしれません。
逆に、ハズキルーペの認知度が高く、みんなが知ってる製品であれば
「こりゃパクリだな」と認定してもらいやすくなります。
ハズキルーペをメガネの上から重ね掛け
パクリ業者との裁判に勝利
安価な粗悪品が広く出回ってしまえば、後から幾ら騒いでも不正競争防止法が適用されにくくなります。
ハズキルーペのCMで、商品自体も爆発的に売れるようになった以上に
「CMの悪評」も含めて知名度も爆発的に上がりました。
そして、不正競争防止法に基づくデットコピー商品の差しどめ訴訟で、140以上のコピー業者を排除したとのこと
特に日本では売れる商品がでてくると、色々な会社が同じような商品を雨後の竹の子のように発売してきますから
ハズキルーペのテレビCMで、この著名性を獲得したということは、単に売上げが上がっただけではなく、ライバルがでてくるのを防ぐ意味でも大きな意味があったと言えます。
今後メガネ式拡大鏡の需要は更に拡大する
ハズキルーペについて
老眼鏡とどう違うの、百均の虫眼鏡でいいんじゃないなどと言う人もいますが
老眼鏡とルーペ(拡大鏡)は使用目的が違う
虫眼鏡じゃ片手が使えない
というほかに
お尻で踏んでも壊れない(^_^)v
ブルーライトやUVカット機能がある
視界が広い
安物と違ってひずみがないので長時間使っても疲れない
などというメリットが有るほか
ファッション性があり、知名度があるので、人前で使っていても何ら違和感が無いという特質が有ります。
そしてポイントは、メガネ式拡大鏡(ハズキルーペ)の需要は今後益々高まってくるということです。
少子高齢化で、高齢者の数が増えて来るばかりで無く
ライフスタイルの変化で
比較的高齢になっても事務系の職場で働き続ける人がいる
・・・今時の人は健康で元気ですから、昔の人に比べてかなり高齢になっても働けますが、視力の低下は、防げません
40代を過ぎる頃には老眼が始まり、次第に、細かいものが見えにくくなってきます。
程度の差はあれ誰でも、白内障の影響が出てきますし、網膜の細胞が減少して、目に映る画像が粗くなってきます・・・
あるいは、定年になったあとも
読書や、自分の趣味の事
プラモデル作り、釣りの仕掛け作り、クラフトワークや、刺繍などなど
老後の自由時間の充実のためには、手元の細かい作業や書類などを見るなど
高齢になっても、まだまだ目をしっかり使う場面も増えています。
それなのに、視力の低下は年齢と共に確実に進行していきます。
所が、現在の所、視力の低下を手軽に補うツールとして
メガネ式拡大鏡(ハズキルーペ)以外のものは見当たらない
となれば、今後、ますますメガネ式拡大鏡(ハズキルーペ)の需要は拡大していきます。
その入り口の所で大々的にCMを流し
認知度を上げることで、絶対的なブランドとしての地位を確立し
他の会社の参入の余地をふさいでしまうことで
独占的にメガネ式拡大鏡というニッチ・・
とは言え、莫大な需要は見込める・・
ニッチジャンルを囲い込んでしまえる。
そういうことに100億円をCMにつぎ込んだのであり
戦略的に大成功だったと言えます。
まとめ
ハズキルーペのCMは、単なるCM屋さんやサラリーマンにはとてもできない大胆な発想で作られたCMです。
そしてその裏には、メガネ式拡大鏡という、一見ニッチながら今後の大幅な売上げの拡大が見込めるジャンルにおいて
ブランドを確立することで、後発のメーカーが参入できないようなハードルを作りあげてしまったという点で
戦略的にも大成功を収めたCMでもあります。
では、このハズキルーペとはどのようなメガネなのでしょう、その種類や使用目的などについて解説します。
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