会社の健康診断などで、尿酸値が高いですねと指摘されることがあるかと思います。
尿酸値が高いとどうなるか分かっている人にとってはちょっとヤバいなと感じることでしょうが、比較的若い人だと「それがどうしたの、何か問題があるの」くらいの感じだと思います。
しかし尿酸値が高いまま放置しているとどうなるのか、
尿酸値が高くなるのはなぜ、
尿酸値を下げる方法はあるのか
などについて解説していきます。
尿酸値が高いまま放置すると痛風の原因になります
尿酸値が高いと、一番の問題というか、最大の問題は、いつしか痛風になるということです。
経験した人なら分かる、あの激痛、
本当に、寝る前に酔っ払ってタンスの角に足をぶつけて骨折したのではとか
風が当たるだけで痛い
マジ本当にその通りです。
大概は、朝方、足の親指の付け根が傷んでいるのに気が付き寝られなくなり
そしてそれはいつしか激痛に変わり
起き上がろうとしてもあまりの痛さに立ち上がることも出来なくなっています。
痛風は長年にわたり高尿酸値が続いた結果です
尿酸値が高くなると、尿酸は血液の中に溶けていられなくなって、結晶となって固まっていきます。
そして尿酸は血液の中に7mg/dlまで溶けます。
でもこれ以上はムリ
7mg/dlを超えた分は結晶として身体の中に堆積していきます。
通常は30代の頃に高尿酸血症と健康診断などで指摘されても
「それが何か」状態です。
痛風のことを知らない人は、
「血液に混ざっている不純物がちょっと多めなのかな、少し気を付けよう」
くらいにしか考えません。
しかし高尿酸値の状態が10年くらい続くと、ある日突然、何かのきっかけで身体にたまった尿酸の結晶に対して、身体の防衛反応が働き始めて炎症が発生します。
注:何かのきっかけ
痛風の発作は何かしらのきっかけがあることが多いです(絶対じゃ無いですが)
・前の日に高級牛肉をしこたまビールを飲みながら、たらふく食った。
・寝不足や仕事の疲れがたまっていた。
・前日激しい運動をして汗をたっぷりかいた。
などなど
炎症といえば聞こえは良いですが
ハッキリ言って患部(多くは足の親指の付け根)はパンパンに赤く腫れ上がり、指でつついた日には飛び上がるほどの激痛が走ります。
注:痛すぎて飛び上がることは不可能ですが(^_^;)
尿酸の結晶
病院に行っても痛風の痛みは簡単に引きません
痛風の発作が起きて、病院に行って痛風と診断されると、取り敢えず痛み止めと、炎症を抑える薬が処方されます。
でも痛風の痛みは簡単に取れませんから、更に数日はもがき苦しむことになります。
(薬を飲んだ方が多少は痛みは和らぎますし早く治ります・・念の為)
ただし、痛風の発作は薬を飲んでも飲まなくても、病院に行っても行かなくても安静にしていれば1週間ほどで痛みが無くなり元に戻ります
(たまに2週間ほど痛みが続く場合もあります)
病院での痛風の治療
病院では、痛風の腫れが引いて痛みが無くなったら再度受診するようにいわれると思います。
痛風というか高尿酸血症の治療はそこからになります。
痛みが引いて病院に行くと尿酸値を下げる薬を処方されます。
この時に処方される薬は、一気に尿酸値を下げるのでは無く少しずつ下げるように薬が調整されます。
なぜかというと、一気に尿酸値を下げてしまうと、尿酸の結晶が一気に溶けて他の部位に流れ出し、そこで痛風が発生してしまうことがあるからです。
ですから、高尿酸の治療は、少しずつ尿酸値を下げて、少しずつ尿酸の結晶を溶かしていくという治療になります。
多くは10年以上かけてため込んできた尿酸の結晶ですから溶かすのにも長い期間がかかります。
尿酸値が下がった人でも、しばらくして突然痛風の発作が起きることがあります。
特に急激に尿酸値が変動したときに(高くなった時も、低くなった時も)発生しやすいようです。
尿酸値を下げる薬は一生飲み続ける必要がある?
体内の尿酸の結晶が完全に溶けるまでに時間がかかるといっても、完全に無くなってしまえば、薬は飲まなくて良いのかというと
尿酸値が高いのは
・体質
・生活習慣
などが原因ですから
薬で尿酸値を下げていても、薬をやめてしまえばまた元の高尿酸状態に戻ってしまいます。
ということで多くの人は結局、尿酸値を下げる薬を飲み続けることになります。
もちろん自力で体質を改善したり、生活習慣を改めれば薬を飲む必要は無いのですが、それができる人はかなり意志の強い人で、
薬をやめても、普通はいつの間にか、いつもの生活に戻ってしまって、気が付けばまた痛風の発作が起きるということになりかねません
薬には副作用がある
結局、一度尿酸値を下げる薬を飲み始めると、一生、薬を飲み続けることになる人が多いといいましたが
薬には副作用があります。
・肝機能障害
・肝機能低下
・疲労感
・食欲不振
・下痢
・関節痛
などなどいろいろあり
必ずしも副作用が出るとは限りませんが、
・定期的に病院に行く必要がある
・薬代がかかる
・他にも持病があって薬をたくさん飲んでいる
というような理由から尿酸値を下げる薬を飲まない人もいます。
尿酸値が高くなる原因とメカニズムをわかりやすく解説します
尿酸値が高くなるのはなぜでしょう
よくいわれるのはビールなどのプリン体を含む飲食物をとりすぎるのが原因といわれていますが、必ずしも事実ではありません
プリン体は尿酸の原料となりますからもちろんプリン体を大量に摂取することはよくありませんが
プリン体の8割は体内で作られる
人間の身体の中にあるプリン体の8割は体内で生産されます
(逆に言えば飲食で体内に入る分は2割)
人間の体内で行われる新陳代謝によって作り出され、特に激し運動をした時などに多く生産されます。
昔は、尿酸値が高く痛風が心配な人はプリン体を多く含む食べ物は食べたらダメだといわれていましたが、実際は体内で生成される量の方が多いことから
現在は、バランスの取れた食事であれば、特に気にする必要は無いと言われています。
尿酸のバランスが崩れると尿酸値が高くなる
体内で作り出される尿酸は
体内で合成されるもの 約500mg
食べ物から 約100mg
合計 約600mgが毎日体内で発生しますが
尿により排出 約500mg
便により排出 約100mg
合計 約600mgが体外に排出されています。
ところが、食べ物や体内で作り出される尿酸が多くなれば、体内に蓄積される尿酸が増え、血液の中の尿酸の量が多くなります。
あるいは尿などから排出される尿酸が少なくなっても、差引、体内に蓄積される尿酸が多くなることになります。
どうすれば尿酸値が下がるのでしょう、飲み物、食事、運動?
前の項で述べたように、尿酸を作り出す量と、排出する量のバランスが崩れることで尿酸値の値が高くなるわけですから
尿酸値を下げるためには
・尿酸を作り出す量を減らす。
・尿酸の排出を増やす。
ということで尿酸値を下げることが出来ます。
具体的な内容について解説すると
尿酸を作り出す量を減らす方法
プリン体を含む食事を減らす
前の方で、食事が尿酸に影響する割合は低いと言いながら、いきなり食事に気を付けろというのも何ですが
やはりプリン体を多く含む食事に偏っていると、どうしても尿酸の生成量は増えてしまいます。
あまり気にする必要はありませんが、プリン体を多く含む食品を大量に食べるのは控えた方が良いでしょう。
プリン体の多い食品
・魚介類
ウニ、カニ、イカ、魚卵などお酒の肴に美味しいものなどは特に要注意です。
・肉類、特に内臓など
レバー、ハツなどにはプリン体が特に多く含まれています。
また、意外なところとして果糖を含む果物は尿酸値を高くするといわれています。
長時間の運動、過激な運動
人間の新陳代謝、特に運動で尿酸の作られる量が増加します。
また、運動の中でも腹筋などの筋トレや短距離走などの無酸素運動では尿酸が作られる量がぐっと多くなります。
あるいは、マラソンが趣味の人などで尿酸値が高くなる例はよく見られます。
ただし、適度な運動により、肥満などを解消することで尿酸値が下がりますので、運動してはいけないということではありません。
ダイエットや肥満の防止
体重が増加すると尿酸値も高くなります。
肥満などで体脂肪が多いと尿酸の作られる量が多くなります。
ということで、ダイエットして体重を落とすことで、尿酸値は下がります。
ただし、過激なダイエットでは、身体にダメージがあるばかりで無く、筋肉が分解されるなどしてかえって尿酸値が高くなることがあるので、あくまで適度なダイエットという事に気を付けましょう。
尿酸の排出を増やす方法
体内で作られる尿酸を増やさないことも大切ですが、直接的にはやはり、どうやって尿酸を効率的に体外に排出するかということも、尿酸値を下げるキーポイントになります。
水分を摂る(尿の量を増やす)
体内から排出される尿酸の8割以上は尿(おしっこ)から、1~2割が便(うんち)から排出されます。
まあ、便の量はなかなかコントロールできない?ですし、最大の尿酸排出量をほこる尿によって尿酸を身体から出すというのが一番手っ取り早いということになります。
水分を積極的に摂って、尿を出すことで、体内の尿酸が減少しますから、なるべく、1日に最低2Lの水分を摂るようにします。(食事を含む)
注意するのは夏場の暑いときだと、汗が大量に流れてしまい、尿の量が減ることです。
残念ながら汗の中に尿酸はほとんど含まれて居らず、尿酸の排出にはほとんど貢献しません。
さらに、汗で体内の水分が少なくなる結果、尿の量も減少して、尿酸の排出量も少なくなります。
スポーツマンに尿酸値が高い人が多いのもこれが原因で、運動により尿酸の生成量が増える上に、汗をかくことで尿の量が減って、どうしても尿酸値が高くなることになります。
しかも、身体を使う人は肉なども多く食べる傾向があり、これまた尿酸値を高くすることに貢献してしまいます。
お酒を控える
ビールにはプリン体が含まれるから、尿酸値が高くなる原因になるといわれますが、これはあまり正しくありません。
確かに大量のビールを飲めば、ある程度の影響はありますが、それよりも影響が大きいのは、アルコールを飲むことで、尿が酸性に傾き尿に尿酸が溶けにくくなることで、同じ量の尿を出しても、排出される尿酸の量が少なくなることです。
ですから、ビールよりもアルコール度数の高いお酒・・・
ウイスキーや日本酒、焼酎などの方が尿酸値を上げるのに貢献(>_<)します。
尿酸値が高いといわれたら、やはりお酒の量を控えたり、禁酒に努める必要があります。
身体をアルカリ性にする飲料を飲む
身体が酸性に傾くと尿に溶ける尿酸の量が減る。
これは肉類などの食べ物にも言える事なので、そういう意味でも肉類などはなるべく控えた方が良いのですが
逆に、身体をアルカリ性に傾けることで尿に溶ける尿酸の量は増え、体外に排出される尿酸の量も増えます。
手軽なのは
黒酢などの飲料、あるいはクエン酸を水に溶かして飲むというのも効果があります。
注:クエン酸は大きなスーパーの食品売り場などで売られています。
注2:クエン酸水は効果がありますが、結構まずいです。薬と思って我慢して飲んでも良いですが、可能なら梅ジュースなどの飲みやすい物の方が、習慣として続けやすいかもしれません。
水分を摂ることで尿の量を増やすということにも貢献します。
身体をアルカリ性にする食べ物を食べる
飲み物と同じように、食べ物によっても身体をアルカリ性にすることが出来ます。
身体をアルカリ性にする食べ物としては
野菜
酢の物
梅干しなどクエン酸を含む食べ物
牛乳などの乳製品
牛乳などの乳製品には、腎臓の働きを活発にする成分が含まれています。
このため牛乳などを飲むことで、尿酸の排出が促され、尿酸値の低下に効果があります。
まとめ
尿酸値が高いまま放置していると、文字通りいつか痛い目に合います。
(痛風経験者談)(^_^;)
健康診断で、尿酸値が高いといわれたら、ほっておかないで下げる努力をしましょう
尿酸値が高いのは結局体内で生産される尿酸と排出される尿酸のバランスが釣り合っていないことが原因です。
尿酸は多くが、尿から排出されますから、いかに尿をたくさん、かつ効率的に出すかということがポイントになってきます。
尿酸値を下げるのはなかなか苦労を伴いますが、不可能ではありません。
薬の世話にならないよう自分で節制してみてはいかがでしょう。
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