精神的なストレスがかかると眠れなくなったり、睡眠不足になったりしますがなぜでしょう。
「そりゃ、またあの課長に怒られるかと思うと寝られないのは当たり前じゃ」
という答えが返ってきそうですが
もう少しメカニズム的な面で、精神的ストレスによって眠れなくなったり睡眠不足になる原因を分析してみたいと思います。
ストレスがかかると交感神経が活発になり副交感神経の働きが弱まる
ストレスがかかると、そのストレスから自分の身体を守ろうとする防衛反応が起きます。
例えば、ストレス源が嫌な課長であれば、嫌みをいわれないように、最大限緊張して、失敗してお小言を喰らったりしないよう、あるいは仕事で最大限のパフォーマンスを達成して、何事も無く仕事を完了させようとします。
しかしそのストレスが強すぎる場合、身体が常時緊張状態、フルパワー状態になってしまって、なかなかリラックスモードに戻れなくなってしまいます。
この時、身体の中では、身体を活性化させる交感神経が、フルモードで活動していて、逆に副交感神経は後ろの方に引っ込んでいる状態です。
言うなれば交感神経が一種の暴走状態に入ってしまっている訳ですから、寝床に入ってもなかなか脳が睡眠モードには入れなくなっていて、寝付きが悪いということになります。
精神的ストレスが強いとレム睡眠が多くなり脳が休めない
人は寝ている時にレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。
簡単にいうと
レム睡眠:主として身体を休めている状態で、脳の眠りは比較的浅く覚醒状態に近い
ノンレム睡眠:主として脳が休んでいる状態で、脳は深い休眠状態に入っていますから、深いノンレム睡眠の時に起こされてもなかなか目覚めません
レム睡眠の時に脳の眠りが浅くなるというのは、常時、身体も脳も完全に休んでしまうと、無防備な状態が長時間続くことになり危険な状態になるので、これを防ぐためだといわれています。
もともと人間も野生の動物から発展し、サル→原始人→現代人という風に進化をしてきた「生物」ですから、自然の中で生き残るための本能的な機能が残っています。
寝ている間に周りが水浸しになったり、山火事が迫っていても気が付かないで爆睡していれば命の危険があります。
ですから、周期的に身体は寝ていても脳の眠りのレベルが低くなるレム睡眠が現れるようになっています。
さて、ここでストレスが強い状態が続くとどうなるか
精神的な緊張状態が続いているので、夜は疲れた脳がぐっすり寝るようになるかというとそうはならず
ストレスから自分の身を守ろうとする本能が働いて、何かあったら対応出来る?レム睡眠が多くなってしまうことになります。
そして、同じ時間寝ていても、レム睡眠が多ければ、脳はあまり休んでいない状態ですから、脳は睡眠不足の状態で、翌日は眠い訳です。
眠りにつく前にノルアドレナリンやドーパミンが放出される
精神的ストレスがかかっている状態というのは、そのことが心の中に住み着いて、容易に離れない状態になっていますから、寝床に入った後でも、ふとそのことが気になったりします。
「明日また課長に怒られるんじゃないか」
「旦那はまた浮気してるんじゃ無いか」など
そんなことを考え出すと
「どうしたら課長に怒られなくて済むんだろう」
「課長のやろう、自分も何か失敗して部長に怒られれば良いのに」
そして課長が部長に怒られているところを想像して悦に入ったものの
そのとばっちりで自分が怒られるかも・・
「そう言えばこの前怒られたのは、絶対、腹立ち紛れの八つ当たりだよな」
と昔の場面を思い出して、悔し涙に暮れる。
などと、どんどん妄想や空想がエスカレートして眠れなくなってきます。
このような状態の時には、脳内には脳を活性化させるノルアドレナリンやドーパミンが分泌されていて、興奮状態になっていきますから眠れるはずも無く
延々と、頭の中ではドタバタ活劇が繰り広げられていきます。
そして気が付けば、深夜2時3時などということも
翌日は当然のごとく寝不足ということになります。
まとめ
強い精神的ストレスに囚われている時には
交感神経が活発に働き、副交感神経の働きが悪くなって、寝付きが悪くなります。
さらに、睡眠中もレム睡眠が多くなって、脳は休めていない状態
おまけに寝床に入ってストレスにまつわる妄想や空想でノルアドレナリンやドーパミンで頭の中はお祭り状態
これじゃあ、眠れないし寝不足になるってものです。
寝不足はますますストレスを酷くしますし、うつ病にもなりやすくなりますから、早めにストレスは解消するようにしましょう。
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