金魚はとても飼いやすい動物ですし、水槽の中をひらひら泳いでいるのを見ると精神的にも癒やされます。
ところが、結構間違った飼い方をして、せっかく家にやってきた金魚をだめにしてしまうということが後を絶ちません
金魚を飼う基本的な常識を知っていれば決してむざむざ金魚をだめにしてしまうことはありませんし、丈夫で結構長生きする生き物です。
そこで今回は初めて金魚を水槽で飼うときの始め方や飼育の注意事項について解説したいと思います。
金魚を入手する前に水槽の立ち上げを
お祭りの金魚すくいや、誰かに突然もらったなど、急に金魚を飼う必要が出てきたというような場合もありますが
もし金魚を飼おうと思い立って、金魚を入手するまでに時間がある場合は、是非先に金魚の水槽を先に立ち上げておくようにしましょう。
水槽の立ち上げとは
突然水槽の立ち上げと言われて何のことやらと思った方もいるかも知れません
そこで水槽の立ち上げについて簡単に説明したいと思います。
金魚を飼う水槽はただ水を入れただけでは金魚が快適に過ごせる環境ではありません
場合によってはいきなり水槽の中に金魚を入れてしまうことで、金魚を病気にしたり、体調不良にしたりすることがありますから、まずは水槽を立ち上げて、金魚が快適に生活出来るような環境にしておく必要があります。
水槽を立ち上げる上で知っておくべき事について説明します。
そしてこれらの準備をすることで金魚水槽の立ち上げが完了することになります。
水道水には塩素(カルキ)が入っている
水道の蛇口を捻って出てくる水道水には消毒のために塩素(カルキ)が少量混ざっています。
人間が飲む分には影響は無いのですが
注:厳密にはあまり体には良くないようで、カルキ抜きのフィルターを蛇口に付けている人や、そもそも水道水をそのままでは飲まない人も多いです。
金魚にとってカルキの影響は結構大きく、ためたばかりの水道水にいきなり金魚を入れると皮膚を荒らしてしまったり、体調を崩してしまう場合がよくあります。
あるいは小さな金魚をもろに水道水の中に入れてしまうと死んでしまうことすらあります。
ですから、金魚を入れる水はカルキを抜いた状態にする必要があります。
カルキを抜く方法としては
単に半日から1日程度、水をくみ置いて空気にさらしておくだけで、金魚の飼育に支障が無い程度にカルキは抜けます。
この時にエアポンプで空気を水中に送ったり、濾過器のポンプを回して水を循環させることで、より早くカルキを抜くことが出来ます。
ペットショップなどにはカルキ抜きの薬剤が売られていますが、無害とは言えカルキと化学反応した成分が水中に漂うことになりますし、場合によっては投入した薬剤が少なくてカルキが抜けきらないとか薬剤が多すぎて金魚に悪影響を与える可能性もありますから
薬剤(カルキ抜き)を使った処理は、あくまで緊急時のためのものと考えておいた方が良いと思います。
(緊急時:突然の水質の悪化で予期しない水替えの必要が出てきたなど)
注:雨が降った後、水量が多いと浄水場での処理が追いつかず塩素を多めに入れるという場合もあり、塩素の濃度は必ずしも一定ではありません
上部フィルター
あらかじめ金魚の水槽とフィルターなどは購入しておく
当たり前ですが、金魚を入手する前には水槽とフィルターを購入(入手)してセッティングしておきます。
水槽の立ち上げも何も、水槽が無ければ何も始まりませんね(^_^)v
水槽の大きさは、本格的に飼育を始めるなどの場合を除いて、60cm水槽を推奨します(大きければ大きいほど良いのですが、60cm以上の大きさになると管理が大変になります)
ショップやホームセンターなどで取り扱っている水槽は60cm水槽が標準になっており30cm水槽や40cm水槽より上部フィルターなども安くなっている場合が多いです。
ちなみに水槽の大きさによって無理なく飼うことの出来る数は
今年生まれた当歳の小さな金魚で
30cm水槽 2~3匹
40cm水槽 3~4匹
60cm水槽 5~6匹
2歳以上の大人の金魚で
30cm水槽 1匹
40cm水槽 1~2匹
60cm水槽 3~4匹
程度となります。
60cm水槽
無理をすればこれ以上飼うことは出来ますが、ちょっとした不注意で、すぐに病気にしたり、死んでしまったりしますからやめておいた方が良いです。
一般的には金魚1匹に15~20Lの水が最低限必要だといわれています。
初心者の人が失敗する大きな原因が、無理をして多数の金魚を水槽に入れてしまってダメにしてしまうということがあります。
私がよく例に出すのは
6畳間に外出もせず朝昼晩一緒に人間が生活するとしたら
子供でも5~6人、大人なら3~4人くらいが限界でしょうということです。
ですから、事情があってどうしても60cm水槽が無理ならばしょうがありませんが、どうしても小さな水槽を選ぶ場合は飼育する金魚の数を減らして下さい。
本当は飼育数が少ない場合でも、出来れば60cm水槽の方が金魚にとって快適な環境になります。
小さな水槽は周りの環境の変化を受けやすく水温が上下しやすく、水質の悪化も早く、水替えを頻繁にする必要があり、しかも水替えの失敗が金魚をダメにする大きな原因になります。
参 考
金魚の年齢は数えで計算します。
その年生まれた金魚は当歳(とうさい)
正月を超えると2歳、その後正月をまたぐときに1歳づつ加えていきます。
琉金
水槽の置き場所を決める
これが結構重要なポイントになります。
水槽に水と金魚を入れた後に場所を変更するというのは大変な作業になりますし、水槽の置き場所によって金魚の健康にも大きな影響を与えます。
置き場所を決めるポイントとしては
・安定していてフラフラしない場所
金魚水槽に水を入れると数十キロの重さになりますし、不安定な場所に置いてひっくり返ってしまうと、金魚にとっても、飼っている人にとっても大変なことになりますから、安定した場所に置くことが大切です。
・万一水をこぼしても大丈夫なところ
地震で揺れたときや、水替えの時に不注意で水がこぼれてしまうことがあります。
水槽を置くのですからある程度のリスクは仕方がありませんが、ここで水をこぼしたら絶対困るという場所はやめておきましょう
例えば電気製品の横や上、コンセントなどの直上
直接、階下に水が流れ落ちそうな場所など
その他水に濡れたら困るようなものがあり、別の場所に移動できないなど
・出入り口の直ぐ横などは避ける
部屋に人が出入りする度に、金魚を驚かすことになるような場所だと、金魚も落ち着けませんから、なるべく出入り口の直ぐ横などは避けた方が良いです。
・適度な明るさがある所
金魚といえども生物ですからある程度明るさがある所で生活する必要があります。
もちろん夜は暗くなった方が良いですが、日中も日が差し込まず、薄暗いようなところですと、金魚も健康を維持することが難しくなります。
やむを得ない場合は水槽用の照明器具を設置することも考えた方が良いでしょう。
それから、窓際などの直射日光がまともに当たるようなところも避けた方が良いです。
日光によって水槽の壁に緑色のこけが付いて掃除が大変なのはまあいいとしても、夏場などは水温の上昇が起こりやすく、金魚の体調を崩す原因となります。
らんちゅう
・水温変化の少ないところ
同じ室内でも、冷暖房器具のすぐ近くだと、水温の変化が激しくなってしまいます。
あるいは、日中直射日光があたって水温が上がりすぎる場所も好ましくありません。
また、人のいるときといないときで、冷暖房器具などの関係などで極端に室温が変化する部屋も避けた方が良いです。
例えば、寒冷地などで、人がいない夜間に氷点下近く室温が下がってしまうなど。
金魚は比較的温度変化への順応力は高いのですが、さすがに短期間に温度変化が繰り返されると、体調を崩してしまうことになります。
金魚を入れる2、3日前から水を入れフィルターを作動させる
これは水槽内の濾過菌を増やす為のものです
金魚の場合、糞の量が多く濾過装置や砂利についた濾過菌で、老廃物を取り除くことは困難なのですが、それでも濾過菌が繁殖しているのといないのではかなり環境に与えるインパクトが違ってきます。
通常、水槽にいきなり金魚を入れると糞などが分解されず、水槽の水が白濁しますが、数日経って濾過菌が繁殖してくると水が綺麗になってくるので、濾過菌が繁殖してきているのが分かります。
出来れば砂利を敷く
掃除が面倒だからと砂利を敷かない人も多いですが(ベアタンクという)やはり砂利があった方が金魚も落ち着きますし
砂利には濾過菌が繁殖して、水質の悪化を多少防いでくれます。
フィルターは上部フィルターを
金魚飼育において、金魚は糞の量がとても多いので、フィルターだけで水質の悪化を防ぐことは出来ません
フィルターはあくまで「糞こし」の為と割り切って、基本的には水替えで対応します。
濾過用のフィルターは金魚の糞ですぐに目詰まりを起こしますから、濾過の効率よりはフィルターの濾材を清掃しやすいタイプのものが良いです。
一般的な上部フィルターであれば、フィルターの濾材の交換や清掃が簡単にできますから上部フィルターを選んだ方が失敗が少なくなります。
水草は必要ない
金魚だけだと見た目が寂しいので水草を入れたくなる人もいることでしょうが
金魚は水草を入れても口で引っこ抜いて食べてしまいます。
それでもいいというなら良いのですが、水草は入れても無駄になるということは理解しておいて下さい
金魚が我が家にやってきたときにやるべき事
さて、金魚を迎える準備が出来ていよいよ金魚が我が家にやってきました。
この時にやるべき事がいくつかあります。
水温を合わせる
金魚は人間と違って服を着ていませんから水温の変化をまともに受けてしまいます。
特にらんちゅうなどの高級金魚は身体が弱いですから(^^;)慎重に取り扱って下さい。
水温を合わせる方法としては、自宅に金魚を運んできた容器(ビニール袋やバケツ)をそのまま金魚を入れる水槽に浮かべます。
水槽より大きな容器で中に入らないという場合は、少し小さめの容器に入れ替えてから水槽に浮かべます。
中の水がこぼれないように注意して、この状態で15分くらいそのままにして、水槽の水温と金魚が入っている容器の水温が同じようになるようにします。
そして水温が同じになったならゆっくり金魚が入っている容器をひっくり返して金魚を水槽に放します。
水温に差が無ければ(水温差が1度以内程度)もう少し早く金魚を水槽に放しても問題ありません。
念の為に消毒を
管理の行き届いた信頼の置けるところから入手したものであればさほど気にかける必要は無いのですが
病気などが心配な場合は、最初に塩や魚用の消毒薬(マラカイトグリーンなど)で消毒を行います。
塩浴は飼育予定の水槽でも良いですし、塩分が気になると言うことであれば別のバケツなどで塩浴させても良いです。
濃度としては0.3%~0.5%
これは水10Lに対して塩30~50gになります。
60cm水槽なら約60Lの水が入っていますから180~300g
初めての人は「ええっそんなに」と思うかもしれませんが、金魚はこのくらい平気
塩浴は金魚の病気治療にも最も多く使われるポピュラーなやり方です。
水槽にドバッと塩を入れるのは抵抗があるという人は、大きめのバケツで半日~1日程度
エアレーションをしながら金魚を塩浴しても良いです。
注:エアレーション
空気ポンプで水にエアー(空気)を送ること
金魚を入れる容器が小さくて、金魚が生存するための酸素容量が十分確保できないときにはエアレーションが必要
上部フィルターなどを使って水を攪拌することでもエアレーションになります。
注:塩は食塩を使用します。味塩などは不可
マラカイトグリーンなどの魚用消毒薬を使う場合は数滴あるいは規定の量を水槽に入れます。
すぐにエサをやらない
金魚はあなたの家に来るまで遠い旅をしてきているかもしれませんし、新しい環境に慣れていないということもあります。
それなのにいきなりエサをやると、金魚には野生の本能があり、エサを与えられると体調がよほど悪くない限り無理をしてでも餌を食べてしまいます。
その結果体調を崩して病気になったりすることがよくあります。
また、水槽やフィルターは数日前からセッティングし濾過菌も増えていることと思いますが、それでもまだ濾過菌は増えきっていません
ですからエサをやるのはしばらく待ちましょう。
金魚を水槽の中に入れると糞をしたりおしっこをしたりして水の中にアンモニアなどの成分が増えていき、これを栄養分として濾過菌が爆発的に増えます。
そのまま2日くらいで充分な濾過菌の量になります。
金魚も2日ほど経てば環境に慣れ体調も整って来ますからこの段階から少しずつエサを与えていきます。
最初はどのくらい餌をやって良いか分からないと思いますので、こんな少しで良いのと思うくらいで良いでしょう。
金魚はエサをやらないよりはエサのやり過ぎで体調を崩したり、食べきらないほどの餌で水槽の水を腐らせて病気にしたりする事が多いです。
また、欲しがるからといって、むやみにエサを与えていると水質が急激に悪化して金魚の体調を崩す原因になります。
水替えの頻度にもよりますが、餌の量は金魚が食べる量を基準にするのでは無く、次の水替えの時までに金魚の体調を崩すほど水質が悪化しない量を基準に与えるようにしましょう。
参 考
生まれたばかりの稚魚などを別にして、金魚は1、2週間エサをやらなくても平気で多少やせるぐらいで、生命に別状はありません
逆にエサのやり過ぎや、やり過ぎによる水質の悪化が金魚を★にする大きな原因になっています
金魚を末永く健康に飼育するために
新しい命があなたの家にやってきました。この命を末永く健康に保ってもらうために注意することがあります。
金魚の寿命
金魚の寿命は長くて10~15年、メタポ体質のらんちゅう系統の金魚は場合によっては6~7年程度でぽっくり寿命がきてしまう場合もあります。
その他体型によっては、浮き袋の異常などから水の中でひっくり返ってしまう転覆病になるものも多く、転覆病になってしまうとすぐには死なないものの回復は難しいです。
金魚が寿命をまっとうできない理由の多くは
水質が悪化して体調を崩す
金魚が体調を崩す1番の原因は水質の悪化により体調を崩すことです。
水質が悪化する原因のほとんどはエサのやり過ぎによる水質の悪化です。
エサをやればやるほど糞や尿を大量に排出して水を汚します。
濾過器や砂利などに着いている濾過菌で濾過できる量はたかがしれていますから、限界を超えると急速に金魚が生存できないほど水質が悪化します。
タイミングよく水替えをすれば良いのですが、水替えが遅れると金魚は体調を崩します。
その他に水質が悪化するのは
長期間水替えをしなかった
・・いずれにしろ水槽飼育では水質は徐々に悪化していきます。
金魚が耐えられない環境になるまで水替えをしないで放置していれば、金魚の調子も悪くなります。
あるいはまれに病気治療などで薬品を入れ、規定よりも多くの薬品を入れてしまって水質が悪化・・というより薬品の濃度が高くなりすぎたという場合があります。
ロクリン
病気
様々な病気がありますから一概に言えないですが飼い主の不注意によるものが意外に多いです。
病気になる原因の多くは金魚が生活する環境の悪化・・
先に述べた水質の悪化や
日当たりが悪かったり、気温(水温)の変動が激しい場所、人の出入りや振動が多くストレスがかかりやすい場所
あるいは密飼いなどでストレスがかかりやすくなっている。
などで病気になることが多いです。
塩浴や薬品などで治療するのも大切ですが、病気が多発するということはそもそも飼育環境が劣悪な可能性が高いと言うことも心の隅に入れておきましょう。
その他、野生の水生動物などを捕獲してきて、金魚の水槽に入れるのも、様々な病原菌を持ち込む原因になります。
事故など
濾過器やエアポンプなどが故障や停電で止まったり、コンセントが知らない内に抜けていて金魚が酸欠になったとか
エアポンプのパイプから水槽の水が逆流して流れ出て、水槽の水が無くなってしまった
あるいは蓋のない水槽から和金系などのパワーのある金魚が勢い余って外に飛び出してしまった
水替えの時に水槽の外に落としてしまった、水槽のパッキンなどが劣化していつの間にか水漏れを起こしていた
などの事故で金魚をダメにする場合が時たま発生します。
らんちゅう
夏場の高温
室内飼育で冬の寒さでダメにしたというのはさすがにまず無いと思いますが、閉め切った室内で気温(水温)が35度以上になるような環境だと極めて危険な環境だと言えます。
金魚はかなりの暑さに耐えますが、限界があります。
しかも、水に溶ける酸素の量は水温と共に減少していきます。
そして、一匹が★になってしまうと高温で急速に腐敗が進み、他の金魚までダメになってしまうということが考えられます。
エアコンの無い室内で気温が上がるときは風通しを良くするなど、何らかの対策が必要です。
エサのやり方
金魚のエサのやり方としては1日1~2回、5分以内に食べきる量を与えるなどと書いてある書物が多いですが
これだけの量を水槽飼育の金魚にやった場合、エサのやり過ぎになる可能性が高いです。
金魚のエサは
「水槽と濾過器と水替えで処理できる」量が基準です。
というのは金魚は、エサをやればやるほど、胃袋が満タンになるまで食べ続けます。
エサが消化されて胃が空になればさらにエサを食べます。
ですから食べるからと調子に乗ってエサを与えていれば水槽の処理能力を超えて水質が悪化して最終的には金魚の体調を崩すことになります。
もちろん頻繁に水替えをすれば良いのですが
通常は金魚がぐったりするなどするまでは水質の悪化は分かりにくいですし
頻繁な水替えは金魚に与えるストレスも高く、水替えの失敗もかなりあり、逆に体調を崩す原因になります。
ですからエサをやるときは一定の量(小さな計量スプーンなどで計って与える)を最初は極少量、慣れてくるに従って少しずつ増やすようにします。
そして一定の期間で水替えを行っていて、その餌の量で水替えの前に金魚の体調が悪くなるようでしたら餌のやり過ぎですから
もう少し少なくした、一定量を与えるようにします。
また、エサを与えるときはいきなり全部与えるのでは無く、少し与えてみて食いつきが悪いようなら体調=水質が悪い可能性が高いですからそれ以上エサをやらないようにします。
むやみに新しい金魚を入れない
これにはいくつかの理由があります。
金魚の数を増やさない
金魚を適正な数で飼育しているとどうしても見た目が寂しくて数を増やしたくなります。
テレビなどで立派な水槽に多数の金魚を群泳させている場面を見ると、ついつい数を増やしたくなる欲望が湧いてきますが
仮に、水槽に多少の余裕があったとしても、前から住んでいる金魚にとっては見知らぬ金魚が増えるということはストレスになりますし、限られた空間で飼育数が増えれば確実にそれまでより環境が悪化します。
水替えまでの水質の悪化が早くなることや、エサの分け前が少なくなるなど、良いことはありません
病気を持ち込む
よそから持ってきた金魚には往々にしてウイルス性の病気を持っている場合があります。
病魚を水槽に入れてしまうとウイルスが健康な金魚にも広がり、薬品などで抑えたとしても、金魚の体力が低下したときなどにまた発生するなどというような悪循環に陥る事があります。
金魚は生まれたところに特有のウイルスを持っている
金魚は生まれたところ特有のウイルスを持っています。自分自身は免疫が出来ていてそのウイルスに感染していてもなんともないのですが、全く違うところで生まれ育った金魚にはその免疫が全く無いということがよくあります。
ということで、どちらの金魚も元気なのに一緒にした途端、片方の金魚、あるいは両方が突然★になってしまうということがあります。
和金系などの生命力が強い金魚ではあまりないのですが、らんちゅうなどの高級金魚ではよく発生します。
新しく金魚を入手した場合はいきなり水槽に入れるのでは無く、暫く別の水槽などで飼育して病気などが無いかよく観察し様子を見た上で
免疫を作るための予防注射のような感じになりますが、両方の飼育水を交互に少しずつ交換して一定の期間(数ヶ月)慣らした後一緒にするような慎重さが必要です。
江戸錦(エドニシキ)
種類を増やしたり高級金魚に目移りしない
初心者の人はどうしても色々な金魚を飼いたくなりがちです。
所が金魚は種類によって生命力が大きく違いますから、異なる種類の金魚を混泳させると、かなりの確率で弱い種類の金魚(大概は高級金魚と言われるものが多い)が病気になったり★になったりしてしまいます。
また実力不相応の高級金魚(生命力が弱い)に目移りして、経験や飼育環境が整っていないのに、これらの飼育が難しい金魚に手を出してしまって失敗することも多いですから、金魚を入手する場合はよくよく検討してから入手するようにしましょう
一般的には生命力が強い方から
和金系→オランダ獅子頭系→琉金系→らんちゅう系
となっています。
同じ系統でも形が違うものは一緒にしない方が良いですし、出来れば同じ種類のものを一緒にするようにした方が良いです。
オランダ獅子頭
水替えとフィルターの掃除
水替えはえさやりと同じように金魚を飼育する上ではとても大切で重要なことです。
注意事項としては
水替えの当日はエサをやらない
水替えは意外と金魚にストレスを与えますから水替えの当日(水替えの前後)にはエサを与えないようにします。
餌をやった直後に水替えをしたり、水替え直後に餌をやって体調不良にしてしまうことが良くあります。
カルキを抜く
前の方で書いたとおり水道水は汲んだ直後にはカルキが含まれているので出来るだけ半日~1日程度くみおいた水を使います
事故や突然の水質悪化など緊急場面で、くみ置きの水が無い場合は
全量交換はしない
なるべく曝気しながら水を入れる
注:曝気(ばっき)
水を空気にさらすこと。
ホースの出口を高い位置にするなどして、水を壁面や水面などにあてて、空気で泡立つように水を入れたり、エアポンプで空気を送り込むなど
カルキ抜きがあるならカルキ抜きを使う
水温が極端に違う場合は、新しく入れる水にお湯や氷などで少しでも水温を調節してから使うようにします。
アズマニシキ
頻繁に水替えをしない
金魚飼育水槽の水質は日々悪化しますから定期的に交換する必要がありますが
頻繁な水替えも金魚へのストレスになるということを理解しておきましょう
金魚も水槽の中の水質に順応していますから、新しい水だから古い水より良いだろうということは必ずしも当てはまりません。
魚は鱗などを通して常時体内と外の水の間のバランスを浸透圧を使って調節していますから、いきなりクリアな水に入れられると、身体へのインパクトが有ります。
ですから水替えの回数は出来れば少なく、一度の水替えも全部では無く1/3とか1/2程度に抑えた方が金魚への負担が少なくなります。
もちろん夏場などは金魚の新陳代謝が早く、餌などもたくさん食べるので早めの水替えや一度に7~8割程度の水替えが必要な場合もあります。
注:夏場は金魚も活動的になっていてその分、水替えのインパクトも少なく、多めの水替えは可能です。
水替えと一緒に濾過器のフィルターも掃除する
フィルターが目詰まりしていれば、その都度掃除しても良いのですが、水替えの時に一緒に掃除するようにすれば、忘れる事がありません
水道の水はカルキが入っていて、直接水道水でフィルターを洗ってしまうとせっかくフィルターについて繁殖している濾過菌が死んでしまいますから、洗うときは水替えで古くなって捨ててしまう水槽の水を使って洗うようにすると一石二鳥です。
上部フィルターだと、フィルターの蓋を開けて濾材を取りだして、水の入ったバケツなどの中でジャバジャバするだけで良いですからとても簡単です。
また、上部フィルターの場合、濾材が目詰まりしていればオーバーフローしているのがすぐに分かりますから、この点でも使い勝手が良いと言えます。
注:上部濾過器のオーバーフロー
濾過器の濾材が糞などで目詰まりを起こして、水が濾材を通過しせず、上の方をそのまま水が流れている状態ーほとんど濾過が行われていないので水質が悪化しやすい
外部フィルターだと目詰まりしているのに気が付きにくいですし、フィルターの清掃も結構面倒ですから手遅れになることがままあります。
土佐金
水槽の周りの環境を整える
金魚は水槽という逃れようのない狭い空間で生活していますからなるべく周りの環境が快適になるように気を使いましょう
注意する点としては
日光や照明
出来れば、1日のうちの何時間かは太陽の光が当たるような所が良いでしょう。
直射日光が当たりすぎると水温が上がったり、青ごけがはえて大変ですから、間接光でもいいですが、ある程度日の出や日没が分かるようにしてあげます。
どうしても部屋の奥深くで日当たりの悪いところに置く場合は照明を使い、可能であればタイマーなどで日中だけ照明が付くようにしましょう。
多少なりとも日光を浴びることで健康を維持できますしそれなりに消毒にもなります。
日が長くなったり短くなったりするのを感じるだけでも季節を感じて、繁殖などをする際にも役に立ちます。
水温の変化
短時間のうちに大きく水温が変化するのはよくありませんが、ある程度昼と夜、夏と冬で水温に変化を持たせた方が丈夫で健康に育ちます。
ヒーターなどで一年中同じ温度で飼育する人もいますが
元々金魚は冬は冬眠して、春になって暖かくなってくると活動を開始し
発情して卵を産み、夏は大きく成長し、秋には脂肪を蓄え、冬になるとまた冬眠するというサイクルで生きてきた生き物です。
ですからある程度、昼と夜や季節を感じさせることで多少なりとも野生の頃の本能を維持した方が丈夫に育ちます
ヒーターなどで加温して一定の温度で季節を感じさせずに育てるとどうしても過保護でひ弱な体質になってしまいます。
出雲南京
落ち着いた場所
前にも説明しましたが人の出入りが多いドアの近くや、ネオンが点滅しているような窓際、車の往来が激しい道路際などですと、どうしても金魚が落ち着かずストレスがかかってしまいますから、金魚が落ち着けるような場所や環境を維持することも大切です。
病気の治療
ハッキリ言って金魚が病気になるのはほとんどが育て方のミスです。
そして金魚を★にしてしまうのは
体調を崩したときに、具合が悪いのに気づかずに餌をいつも通りやってしまったり、水替えを怠っていたりすることが原因になります。
当たり前ですが、金魚の病気も早期発見早期治療が大切です。
特に金魚の場合は病気の状態が一定のレベルを超えてしまうと回復が極めて難しくなります。
毎日エサをやる前にまずはちょっとで良いから金魚の様子を確認するようにしましょう。
元気に泳いでいるか
エサを欲しそうにあなたの方によってくるか
お腹などに赤い斑点が出ていないか
ヒレなどがすり切れたようになっていないか
などをチェックしてからエサをあげるようにします。
水泡眼
取り敢えず水替えと餌切り
大切に育てていても時には体調が不良になることがあります。
具合が悪そうだと気が付いたときはまずは水替えを考えます。
金魚が体調を崩すのはほとんどが水質の悪化です。
エサのやり過ぎ、水替えの時期が遅れたなど思い当たることがあればすぐに水替えです。
ただし、よほど水が腐っているような場合を除いて、一気に水を替えてしまうとかえって金魚の体力を消耗してしまいますから、水替えは半分程度にして様子を見ます。
金魚も具合が悪ければ餌を食べないと思いますが、それほど体調が悪くない場合はエサをやると食べてしまう場合があります。
しかし、餌をやってしまうと、エサを消化するために体力を消耗しますし、水質の悪化も早めますからエサを与えるのはやめましょう。
病気の治療中は基本的に餌をやってはいけません。
蝶尾(ちょうび)
塩水浴
金魚の病気治療の基本は塩水浴です。
ほとんど薬を使わず塩水浴だけで病気治療をする人は多いです。
塩水浴は一般的には0.3~0.5%の塩水で行うことが多いです。
これより薄いと効果が出るのに時間がかかったり、濃すぎる場合は、塩水浴の時間を短くしなければならないなど応用的な方法になりますから、金魚の飼育に慣れてから行った方が良いでしょう
塩水は、塩分によってウイルスなどを殺菌すると共に金魚の体内と飼育水の間の浸透圧の差を少なくすることで、金魚の体力の消耗を少なくする効果があります。
治療薬の使用
メチレンブルーなどの消毒薬を使用することはありますが、基本的に金魚の病気の治療はイカリムシなどの寄生動物が付いたときなどを除き塩水浴が使われます。
市販の治療薬を使う場合もありますが、よほど特殊な病気か重症な場合に使う事が多く、また、治療薬を使わなくてはならないような状況の時は手遅れのことも多く、基本的にはそこまで放置することなく健康に育ててもらいたいと思います。
金魚の中でも、人気がありよく見かける割には、飼育にコツがいるらんちゅうの飼育についてはこちらの記事を参考にしてください
まとめ
金魚の飼育は基本的なところを押さえて、愛情を持って飼育すれば、長らく家族の一員としてあなたの目を楽しませてくれます。
逆に、ちょっとした油断や、基本的な事を知らない為に、みすみす病気にしたり、★にしてしまうことが多いのも金魚飼育の特質です。
金魚の寿命は個体や種類によって異なりますが、上手に飼育すれば6~15年ほど生きる生き物です。
可愛い金魚が寿命をまっとうできるよう上手に、大切に育ててあげて下さい
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