庭に侵入してくる猫による糞害などで困っている時の対策としてよく聞くのがハーブなどをプランターや花壇に植えることで猫対策にするという方法
完全に猫をシャットアウト出来るわけではないですが、猫はある種のハーブの臭いを嫌うのも確か。
猫の忌避剤に使われている製品の多くはハーブなどの臭い成分で猫を追い払おうという物です。
そこで、庭にハーブなどの猫が嫌がる臭いを出す植物を植えることで、少なくとも猫にとって快適な空間ではなくすることで、猫の侵入を少しでも防ごうという作戦です。
いわゆる忌避剤などと違って、継続的に効果を発揮しますし、植物ですから、人間にとって有害ではなく、きれいな花が咲いたり、人にはよい香りと感じられるものも多く、また食用にしたり出来るものもあります。
今回は猫対策に有効と言われているハーブやその他の植物について紹介していきたいと思います。
猫対策に効果的なハーブ
それぞれのハーブを簡単に説明します。
ランタナ
ランタナは、常緑小低木で南アフリカ原産の観賞用植物です。別名「七変化(シチヘンゲ)」とも呼ばれ、花色が徐々に変化することや、1つの花房でも外側と内側で花色が異なることに由来しています。
5月頃から花が咲き始め、暑さに強く夏もよく開花し、11月頃まで咲き続けます。生育が旺盛で枝葉が茂って大きくなります。
ランタナは、日なたから半日陰に置くことができますが、よく日光に当てたほうが花つきがよくなり、株姿もコンパクトにまとまります。
戸外で冬越しさせたい場合は、水はけのよい場所に植えると成功する確率が高くなります。
また、ランタナの種子には、ランタニンと言われる有毒成分があるので注意が必要です。
レモングラス
レモングラスは、4~9月頃に植え付けます。成長すると草丈が1m以上になるため、鉢の大きさは7~10号程度の大きめでかつ深さのあるものにします。
地植えにする場合は近くに植える植物との間隔を50㎝以上と広めに取ります。
レモングラスは高温多湿を好む反面、冬の寒さが苦手なので越冬するには、寒冷紗で株全体を覆うか、短く切り戻してワラなどでマルチングを視することや、鉢植えであれば、出来れば鉢を室内へ移動させるか、なるべく軒先などに寄せて、ワラなどでマルチングして防寒対策をする必要があります。
また、レモングラスは猫よけになるだけで無く虫除けにも効果があるほか、ハーブティーとしても楽しむことが出来ます。
ローズマリー
ローズマリーは、爽快で清涼感のある香りのある常緑低木で、料理や香料にも使われています。
薬草として、葉の浸出液が強壮剤や収れん剤などに使用されたり、リウマチや外傷に外用されたりします。
また、ローズマリーには脳内の血流をよくして心身を目覚めさせ、記憶力や集中力を高め、落ち込んだ気持ちを高める効果があります。
ローズマリーは、日当たりと水はけの良い乾燥した場所を好みます。
半日陰の環境でも育ちますが、なるべく日光の当たる場所に置いた方が丈夫に育ちます。
ローズマリーは、耐寒性が高く、冬越ししやすいハーブで、冬越し対策も特に必要ありません。 心配であれば寒くなる前に地上の茎を1/3ほど切り戻すことで株の負担を軽減できます
ユーカリ
ユーカリはフトモモ科ユーカリ属(Eucalyptus)の植物の総称で、どちらかというとコアラの餌というイメージが強いかもしれません。
常緑高木となるものが多く、ほっておくと巨大化します(^_^;)
猫対策として植えるなら鉢植えの方ガ良いかもしれません。
ユーカリは日当たりと風通しの良い環境を好みます。耐寒性は品種によって違いますが、基本的に耐寒性には比較的優れている品種が多いです。
多くの品種は-6℃くらいまでなら耐えられるので、関東以西では屋外管理も可能でが-10℃以下になるような地域では、室内に取り込むなどの対策が必要。
過湿は苦手なので、若干乾燥気味に育てます。
ヘンルーダ
ヘンルーダは別名ルーとも呼ばれ、ミカン科の常緑小低木で、この香りを猫が嫌がるので、ネコヨラズ(猫寄らず)との別名があります。また、ヘンルーダは虫除けとしても使われています。
草丈は1mくらいにまで成長します。若い葉は少し黄色を混ぜたような色をしていて、初夏に黄色の小花を咲かせますが、花より葉に観賞価値があるとされています。
鉢植えでも地植えでも大丈夫です。
冬は霜に当てないようにすることで関東以西では戸外で越冬可能です。耐寒性は比較的あると言われていますが、強い霜に当たると葉が傷み、落葉しますから、強い霜の心配がある地域では、株元をマルチングし、霜よけを設置しましょう。
ゼラニウム
ミカン科の植物で、茎の下部は木質化し、青みのある葉と独特の強い香りが特徴で、初夏から夏にかけて枝先に赤や黄色い花を咲かせ、ドライフラワーとしても楽しめます。
また、ネコヨラズという別名もあります。虫除けとして栽培している人もいます。
常緑小低木、樹高は50センチメートルから1メートル位になります。
昔は、葉に含まれるシネオールという精油成分が通経剤・鎮痙剤・駆虫剤などに利用され、料理の香りづけにも使われていましたが、肌に触れるとかぶれるなど毒性があるとされ、今はほとんどこれらの目的には使われません。
日当たりのよい場所が一番適していますが、半日陰でも育ちます。
乾燥に強いが、半耐寒性で、高温多湿にもやや弱いとされています。
冬は日当たりの良い軒下などで管理し、雪や霜に当てないように注意しましょう。寒冷地の場合は冬は室内に取り込む必要があると思います。
ペパーミント
シソ科ハッカ属の多年草でセイヨウハッカとも呼ばれています。
お菓子やガム、ハーブティーなどでもおなじみです。
繁殖力が強いので、地植えにすると雑草化する可能性もあり、管理が大変になるのであまり繁殖させたくない場合は鉢植えで育てた方が良いかもしれません。
乾燥が苦手なので、しっかり水やりをした方ガ良いです。
ミントは、寒さに強く、極寒のエリア以外は冬もそのまま屋外で大丈夫です。ただし、温暖地以外では地上部が枯れるので、その前に切り戻しておきます。冬場に葉が枯れてしまっても、土の中で根が生きていて、春になって暖かくなってくると芽が出て来て成長します。
ミントは、どんどん成長するので、鉢植えやプランターで栽培する場合は、根詰まりを起こすので毎年植え替えをする必要があります。
成長が早いので、ときどき剪定をしてハーブティーなどとして利用するか、あるいは葉を集めて空の鉢などに入れて、猫よけ対策に活用してもよいでしょう。
チャイブ
チャイブはネギの仲間で、中空の細長い葉にマイルドなネギの風味があるハーブです。
ユリ科の多年草で、草丈は20cm程度になります。和名ではエゾネギやセイヨウアサツキとも呼ばれ、英語名はChivesです。
和洋中いずれの料理にも利用できるハーブです。
成長が旺盛で、ニラなどと同じように春から秋の生育期間中に茎を4~5cm残して収穫すると、2週間ほどでまた伸びてきます。
直径3cmほどのポンポンのような紫色のかわいらしい花が咲くので、観賞用としても使えます。
チャイブは多年草なので、冬の間は地上部が枯れますが、根は生きており、春に芽を伸ばします。
タンジー
タンジー(Tanacetum vulgare)はキク科ヨモギギク属の多年草です。
タンジーは、直径1cmほどの黄色い花を多数咲かせ、葉は深緑色でヨモギに似た香りを持っています。
香料としても使用され、乾燥させても色あせにくくドライフラワーとして用いられることもあります。
タンジーは、ジョチュウギクの近縁種で、葉には樟脳のような香りがあり、殺菌効果、防虫効果があるとされており、乾燥させた葉を防虫剤や消臭剤などにも使われます。
タンジーは育てやすく、日当たり~半日陰の場所で、多湿でなければ植える土壌は選ばれません。
生長が旺盛で、2~3か月おきに追肥が必要になります。夏場は乾燥に注意し、2~3年ごとに早春か花後に株分けをします。
暑さや寒さには強く、特に防寒をする必要はありません。茎は冬には枯れ、冬至芽の状態で越冬します。
ラベンダー
ラベンダーはシソ科のハーブで、4~7月に紫や白、ピンク色の花を咲かせ、お花というイメージがありますが20~130cmほどの低木です。
独特の芳香を持った精油が抽出されアロマセラピーやリラクゼーションなどに利用されています。
ラベンダーは一般的には耐寒性があり、マイナス15℃までの気温でも冬越しできます。
ただし、日本の夏の高温多湿には弱いため、北海道や東北などの寒冷地での栽培に適しています。
とはいうものの、耐寒性、耐暑性は、系統によって大きく異なるので、育てる環境によって品種を選んだほうがよいでしょう。
タイム
タイムはシソ科に属するハーブで、小さな葉と清涼感のある香りが特徴です。
肉や魚、卵、野菜など料理の風味付けに使われ、ハーブティーやブーケガルニなどの材料としても活躍します。
ブーケガルニ(bouquet garni):ハーブや香味野菜を束ねたもので、肉や魚料理の臭みを消したり、料理に風味をつけたりするために使われます。
防腐力や殺菌力があるため、ハムやソーセージの香りづけを兼ねて使われる事もあります。
耐寒性のある多年草で、寒さや乾燥に強く、高温多湿に弱いハーブで、−20℃程度の耐寒力があるとされています。
ハッカ
ハッカはシソ科の植物で、苦味が強く、ミントに似た芳香を持つハーブです。
ペパーミントとよく似ていますがミントとハッカの主な違いは、メントール量による清涼感の差にあります。スペアミントのメントール含有量は50〜60%、日本ハッカのメントール含有量は65〜85%で、ハッカの方が強い清涼感があります。
日本ハッカ=ハッカ、西洋ハッカ=ペパーミント
ハッカの主成分はメントールで、スーッとする清涼感ある香りが特徴です。ミントとハッカの主な違いは、メントール量による清涼感の差で、ハッカはミントよりも強い清涼感があります。
ハッカにはたくさんの品種がありますが、特にメントールの含有量が多いのはニホンハッカです。
消化・強壮・消毒などの効果があり、ゴキブリや蜂、アリなどの虫除けにも効果があるといわれています。また、漢方薬としても清涼、解熱、発汗、健胃などの目的で用いられています。
ハッカ油は、直接垂らしたりスプレーしたりすることで雑菌の繁殖を抑え、防腐効果も期待できます。鎮静・冷感効果、消臭効果、リラックス・目覚まし効果などがあります。
喉の痛みに対しても、お湯にハッカ油を数滴垂らし喉に吸い込むようにすると痛みを緩和してくれます。鼻づまりには、マスクにハッカ油を1滴落として使うのも効果的です。
などなど、猫よけ以外にも様々な使い方や、効能があります。
ハーブ以外の植物(柑橘類など)
レモン
猫は柑橘類の臭いが嫌いなことに加えて、トゲがあるので、物理的なハードルとしても機能します。
レモンの栽培はハードルが高いように感じている人もいるかもしれませんが、そんなに難易度は高くありませんし、地植えでなくても鉢植えでもそれなりに育てることは可能です。
逆に寒冷地などでは、鉢植えの方が場所を移動できるので適しているかもしれません。
庭植えにして大きくなってしまうと、トゲトゲの物理的な障壁にならなくなるので、鉢植えにして、小ぶりに育てて、猫の通り道に障害物として置く方法もあります。
レモンは耐寒性が強くなく、-4℃以下を下回る日が続くと弱って枯れてしまう恐れがあり、冬越しの際は寒さ対策が重要です。
特に寒さに弱い3年未満の幼木の場合は寒冷紗や不織布で覆うようにします。
鉢植えの場合は、屋外や軒先などで管理する場合は覆いをかぶせ、寒さが厳しくなってきたら室内へ移動させましょう。
ただし、室内へ取り込む場合は日当たりや風通しが悪いとレモンが弱ってしまう可能性があるため注意が必要です。
カボス
カボスも「鉢植え」と「地植え」のどちらでも育てられます。
香爽やかで鮮やかな柑橘系の香りが特徴で、大きな鋭いトゲが有り、春には花が咲いて独特の香りをだします。
カボスも暖かい地域での栽培に適しており、寒冷地では防寒対策が必要です。冬場は-6℃を下回ると枯れてしまうため、寒冷紗で囲ったり、株元にワラを敷いたりなど防寒対策が必要です。
カラタチ
ミカン科カラタチ属の落葉低木です。
鋭い刺があることから、昔は外敵の侵入を防ぐ目的で生垣によく使われました。最近は、逆にこの刺が嫌われカラタチの生け垣は減少しています。
果実には強い酸味と苦味があるためあまり食用には適していません。果実酒などに使われる事はあります。
かんきつ類の中では最も寒さに強い部類に入り、北海道南部から沖縄にかけて植栽可能とされています。
ハーブ以外の植物(その他)
ニンニク
ニンニクは猫よけ対策として植物として育てるよりは、ニンニクそのものを細かく刻んで撒いたり、臭いが気になる人はネットに入れてつるしたりして利用することも多いかもしれませんが
いっそのこと、プランターや花壇でニンニクそのものを栽培してみても面白いと思います。
栽培中はほとんど臭いがしないですが、収穫した後、干しておくと結構臭いがしますし、あるいは収穫したニンニクを猫対策として使用できます。
わざわざお金を出してニンニクを購入して猫対策に使うのにためらいがある場合などに役に立ちます。
マリーゴールド
マリーゴールドは園芸店などで苗がよく売られているポピュラーなお花です。
キク科の植物で、オレンジや黄色、ミルク色など色のバリエーションがあり、複数の花びらをつける花で、 栽培も容易で、花壇の定番品目ともいえるポピュラーな夏の代表的な花です。
マリーゴールドからでる香りを猫は嫌がるようです。
また、猫だけでなく、独特の香りや葉や根に含まれる成分により、アブラムシやコナジラミなどの害虫を遠ざける効果があります。また、根菜類にダメージを与える土の中にいるセンチュウという害虫の発生を抑制する効果も期待できます。
ドクダミ
通常は、どくだみの葉 どくだみの葉をつぶしたものか、つぶした汁をフン尿をされる場所に散布しますが、 どくだみを植えるだけでも効果があります。
ドクダミは日当たりがよく、湿り気のある場所を好み、日陰や乾燥地、湿地でも育つ丈夫な植物です。
ちなみに我が家の庭では雑草状態に近い形で繁殖しています。
地下茎が発達して地中深くまで伸び、寒冷地でも容易に冬越ししますが、凍結には弱く、鉢植えでは凍らないよう防寒が必要となります。
ニラ
ニラの臭いも猫は嫌がるようです。花壇の隅をニラ畑にする、あるいはプランターなどで育ててみてもよいでしょう。
プランターで育てて、猫の通り道などの要所要所に配置するなども出来ます、。
ニラは多年草で、比較的寒さに強く、また野菜として収穫して食べて利用することも出来ます。
根元を残して刈り取っても、しばらくするとまたニラは生えてきます。
番外編
バラ
猫はトゲのある植物を嫌いますし、物理的な障害物としても働きます。
猫の進入口などにバラの生け垣を作るとか、鉢植えにして、通り道などにバリケードのように配置してもよいでしょう。
サボテン
サボテンもトゲのある植物ですから、物理的な障害物として使えます。
サボテンというと暑い砂漠の植物というイメージがありますが、以外と夏場の直射日光は苦手ですし、種類によっては積雪に耐えるものもあります。
一般的には0℃以上、寒さに弱い品種だと5℃以上無いと弱ってしまう場合もあります。
寒さに強いサボテンを屋外で冬越しさせるときは、軒下などの雨が当たらない場所に置き、昼間は十分に日光に当てるようにします。
寒さの苦手なサボテンは室内で管理します。昼間は日当たりのよい窓辺に置き、夜は5℃以下にならない場所に移動させます。
ヒイラギ
ヒイラギは、常緑小高木の1種で、葉のふちの鋭いトゲが特徴的な植物です。邪気を寄せ付けない縁起の良い植物と言われており、魔除けの庭木として知られています。
ヒイラギは耐陰性があるので日陰でも栽培できますが、半日陰の場所で育てるのが適しています。また、日当たりがよすぎて土壌がとても乾燥するような場所では、生育が阻害されて枝が枯れることがあります。
冬に花が咲きキンモクセイに似たよい香りがします。
ヒイラギとは種類が違うのですが、似たようは植物としてセイヨウヒイラギがあり、クリスマスツリーに使用され、同じく葉の縁には鋭いトゲがあります。淡黄色に咲く花に香りはほとんどなく、赤い実をつけます。
ヒイラギは寒さに強く、0℃程度までは問題なく越冬できます。ただし、関東以北では寒風や霜から保護するために、ムロや半屋内(用土が凍結しない程度に寒い場所)などで管理します。
セイヨウヒイラギ(西洋柊)は、風や雪が当たらない場所を選びましょう。気温が極端に下がったら、株元に園芸用フリースやマルチング材を敷いて、防寒に努めるようにします。
まとめ
猫対策として、のこが嫌う臭いを出す食物を育てることで、完璧に猫をシャットアウトすることは難しいと思います。
とはいえ、趣味と実益を兼ねて、どうせ庭で様々な花や植物を育てるのもある種の楽しみになると思います。
その上で猫にとって、あまり快適では無い庭に仕上げることで多少なりとも猫の傍若無人な糞害を多少でも減らすことが出来れば成功と言えるのではないでしょうか。
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