ウエルク「WELQ」問題とはDeNAが運営する医療健康情報サイトの「ウェルク(WELQ)」が人の健康に関する誤った情報を大量発信しているとして、各方面からの非難を受け、閉鎖に追い込まれた事件です。
医療関係者の間では話題になったかもしれませんが、一般の人にはあまり知られていない話題かもしれません
しかしこのウエルク「WELQ」問題に端を発して、アフィリエイトの世界に激震が走り、アフィリエイターのほとんどに、強烈な衝撃を与え、
さらに多くのアフィリエイターが収入を減らし、廃業に追い込まれた専業アフィリエイターも多数に上っていると思われます。
ウエルク「WELQ」問題とはどのような事件だったのか、そして、なぜその事件が多くのアフィリエイターに壊滅的な打撃を与えたのでしょうか。
ウエルク「WELQ」問題とは
最初に述べたとおり、ウエルク「WELQ」問題とは「ウェルク(WELQ)」が人の健康に関する誤った情報を大量発信していたことで非難を受け、閉鎖に追い込まれた事件です。
事のてんまつを、ごく簡単にまとめると
・ウエルクは健康に関するまとめサイトに掲載するために、1記事1000円などで、多くは素人のライターに健康に関する記事を外注していた。
・記事ライターは大量の記事依頼に応えるために、他のサイトのコピペ、リライト記事や画像の盗用、根拠のあいまいな記事を納品していた。
・ウエルクは記事の内容を確認することも無く、他のサイトのコピペリライトを黙認していた。
・ウエルクは健康専門サイトとして、人気を集め莫大な訪問者があり、多額の広告収入を得ていた。
・真面目な健康専門サイトのはずが、記事の中には「肩がこるのは霊が取り憑いているからなので除霊が必要」「風邪には家系ラーメンが効く」などというとんでもない記事もあった。
・あまりにもずさんな記事が散見され、医療関係者を中心に非難が相次ぎ、ネット上で炎上、運営会社のDeNAは健康専門サイトのウエルクを閉鎖せざるを得なくなった。
そして、その後ウエルク問題はアフィリエイトの世界にも飛び火していくことになります。
ウエルク問題がGoogleの検索の信頼性に飛び火
Googleの権威の失墜
一般的に、検索した結果、上位に表示されているサイトについて、利用者は無意識のうちに、一定の権威を感じています。
(Googleが評価して)検索の上位に表示されているサイトだから、そんないい加減なことは書いてないだろうというバイアスが働きます。
しかし、様々な健康に関する内容で上位表示していたウエルクの記事が、実は、素人に書かせたいい加減な記事だったことが発覚
Googleはそんないい加減な記事を、検索の上位表示させていた=高く評価していた
ということになりGoogleの信頼性に大きな疑問が出ることに
いうなれば、Googleが大恥をかいたことになりました。
多くの人が検索をする際、特にスマホ(デフォルト:標準がGoogle)からの検索がほとんどとなった現在、検索と言えば、実質的にほぼ95%はGoogle検索になります。
Yahoo検索も、検索エンジン(検索のアルゴリズム、ソフトウエア)にGoogleを使用しているので、Yahoo検索も、中身はほとんどGoogle検索と同じです。
Googleは検索結果に信頼性や権威を重視するようになった
Googleはウエルクのようないい加減なサイトを、上位表示させていたことで権威を失墜し、恥をかいたことになりました。
そして、この問題はウエルクだけでなく
実は、検索で上位表示されるサイトの多くにも共通の問題でもあったわけです。
Googleの検索エンジンは、高度な技術によるAIが、各サイトの記事を評価し、優れたサイトを上位表示させていると思っている人も多いですが
現実にはSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)のテクニックを使った、アフィリエイターなどのサイトが検索上位の多くを占めていました。
SEOには色々なテクニックがあり
そして、テクニックと言えるかどうか分かりませんが
ウエルクが行った、素人のライターに安価な費用で記事を外注し、様々な内容の記事を大量にサイトに掲載するという手法もその1つです。
その結果、ウエルク以外にも、いい加減な内容が書かれているサイトが上位表示されることになり
Googleで検索しても、まともなサイトが出てこないという悪評が出始めるまでになっていたわけです。
このため、ついにGoogleは検索上位表示させるための評価の基準として
E-A-T(Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の3つの概念の略)を重視するようになったわけです。
といっても、現状のAIに言葉自体を理解する能力はありませんし、ましてやその中身を評価する能力もありません
GoogleのAIがやっているのは、文書を統計的に処理したり、サイトを訪れた人がどのくらいじっくりその記事を読んでいることぐらいしか分かりません
そのAIにどうやって、専門性や、権威性、信頼性を判断させようとしたのでしょうか
まずはYMYLの分野から始まった
インターネット関連の仕事をしている人ならご存知だと思いますが
Googleはウエルクの事件の後、2017年末に、検索のアルゴリズムを大幅に変更
特にYMYL(「Your Money or Your Life」の略語で、人々の健康や安全、経済的安定に影響を与えるジャンル)において、E-A-Tが保証されないサイトがことごとく、検索結果で上位表示されなくなりました。
といっても、現状のAIが、記事の内容を理解したり、E-A-Tを直接、判断することは出来ませんから
結局、外形的な基準でサイトを判別するしかなかったようです。
外形的というのは
例えば健康に関するジャンルであれば、病院、医師、公的組織、有名薬剤会社などが運営するサイトを優先的に検索上位表示させる。
つまり病院などが運営するサイトや公的サイトなら、健康や病気に関する事についてウソやいい加減な記事は書いていないであろうという判断です。
この結果、素人が作った、いい加減なサイトが淘汰されましたが、同時に、詳しく分かりやすく書いてあるサイトでも、どこの誰が作成したか分からないサイトは、検索結果から消え去ることになりました。
E-A-Tのジャンルは拡大していった
その後、GoogleはYMYL(健康やお金)の分野だけでなくジャンルを拡大していき2019年の初め頃にはほとんどの分野のサイトがE-A-Tにより選別されることになります。
そうなると、例えばある商品名で検索しても、検索上位にはAmazonや楽天などの大手ネットショップなどのサイト、記事がズラリと上位に並ぶ結果に
○○選び方、××口コミのような言葉で検索してもAmazonなどのサイトが表示されるわけです。
この結果、色々な商品のレビューをしていたアフィリエイターのサイトが、検索で上位表示する事は難しくなりました。
そして、それまでアフィリエイトで生計を立てていたような専門家が次々と廃業して、サラリーマンに戻るなんてことも珍しくなくなっていき
Googleの検索アルゴリズムの変化により普通の個人が、アフィリエイトで収益を得るハードルは以前に比べて格段に高くなってしまいました。
まとめ
ウエルク問題とは、DeNAが運営するウエルクという健康専門サイトが、素人にお金で外注した、いい加減な記事を掲載し、それでもその記事がGoogleの検索で上位表示を占めていたことから問題となり
そのことがGoogle検索の信頼性にまで影響を及ぼした結果
Googleは検索結果にE-A-Tを重視して、信頼性や権威性の高いサイトを上位表示するようになりました。
といっても、検索エンジンが使用しているAIには直接サイトの記事の善し悪しを判定できないため、専門機関や大企業であるというような外形的な判断基準を用いるようになり
集客を検索に頼っていた個人アフィリエイターの多くは、大きな影響を受け収益を減らし、専業アフィリエイターの中には廃業するものも出ることとなったわけです。
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