葬式や弔電で「ご冥福」という言葉は、使っちゃいけないのでしょうか

お葬式や弔電などで、弔意を表す言葉として「ご冥福をお祈りします」という言葉がよく使われます。

ところが「ご冥福」という言葉は、宗教や宗派により、あるいは仏教に詳しい人に使っちゃうと、ちょっと問題有りの言葉だってご存知でしたでしょうか

現実問題としては、弔意を示す言葉として定着してしまっているので、面と向かってクレームを言う人はまずいないとは思いますし

大きな問題にはならないのですが、人によっては

「なんだかね」って感じてる人もいるということは知っておいた方が良いと思います。

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ご冥福という言葉にはこんな意味があった

葬式でご冥福を祈っている人

ご冥福というのは、元々、「冥土での幸福」という意味で使われています。

普通に使っていれば、

「死んだあの世で、幸せになりますように」

くらいの意味になります。

ところが、この冥土というところにちょっと引っかかる部分があります。

冥土ってどんなところ?

冥土というところはどんなところなのでしょう

その人の宗教観や、認識によって色々変わるのですが、大きく分けると3つのとらえ方があります。

・単に死んだ人の霊魂が行く世界、あの世

・死んだ人がさまよい歩く、よく分からないもやもやした冥界

・仏教に言う三悪道(地獄・餓鬼・畜生)

現在は冥土って言えば、ほとんどの人は死んだ人が行くあの世くらいの意味合いが強く

ということで、「ご冥福」という言葉を使っても大きな問題にならないのですが

残りの、もやもやした冥界とか三悪道という意味があると知っている人からすると、ちょっと引っかかるところが有るわけです。

この辺りをもう少し詳しく解説すると

冥界をさまよっている人

死者がさまよい歩くもやもやした冥界

「冥」という字は「うかがい知れない何か」という意味があり、日が暮れて非常に暗くなったこと、ものがはっきりと見えなくなったこと、瞑(目をつぶる)とよく似ていることから切ない死後の世界を連想させる場合があります。

悪意に取れば

「寒くて暗い、亡者のさまよい歩くあの世でせいぜい幸運に恵まれて下さい」

という意味になってしまいます。

冥土とは仏教で言う三悪道(地獄・餓鬼・畜生)の事

仏教の教えでは、無くなった後、人間の魂が輪廻転生する世界を6種類(六道)に分類しています。

六道には

天道(てんどう)

人間道(にんげんどう)

修羅道(しゅらどう)

畜生道(ちくしょうどう)

餓鬼道(がきどう)

地獄道(じごくどう)

があり、このうち下から3つ(畜生道、餓鬼道、地獄道)を三悪道とし冥界(みょうかい、めいかい)と呼びます。

地獄

「ご冥福をお祈り致します」

と言ったときに、言った本人には悪気はなくても、仏教の知識のある人からすると

「冥界(地獄)での幸福ね・・」

とは思わないでしょうが

これも悪意に捉えれば、

「地獄に落ちたあとはせいぜい幸運に恵まれて下さい」

という意味になりかねないとも言えます。


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ご冥福は宗教や宗派によっては使わない方が良い場合がある

「ご冥福」という言葉にはちょっと意味深なニュアンスがあるということが分かって頂けたと思いますが

それ以外にも宗教や宗派によっては「ご冥福」という言葉は使わない方が良い場合があります。

もちろん今時「ご冥福」といって目くじらを立てる人もいないとは思いますが

小うるさい人だと心の中で

「こいつ分かってないなあ」

なんて思われてるかもしれません。

宗教や宗派による違いについて簡単に説明すると

キリスト教

キリスト教の人

キリスト教の考え方として、亡くなった人は皆さん神の側に召されるわけで

「幸せになるに決まってるでしょ」

となります。

それなのに、無くなった後

「冥福を祈る=幸せになって下さい」

とかいうと

「なにいっとるの、亡くなるという事は幸せになるっちゅうことなのに、おかしな事言うんじゃない」

となります。

もちろんそんな風に、屁理屈言う人はいないでしょうが、宗教上の感覚的には違和感があるわけです。

ですからキリスト教の場合には、お悔やみの言葉は

「天に召された○○様の平安をお祈りいたします」

「安らかなる眠りをお祈り致します」

「神さまの平安がありますように」

などとなるようです。

浄土真宗

僧侶と仏像

浄土真宗では亡くなった人は皆成仏して、極楽に行けると考えます。

こちらも亡くなった人は、当然、幸せになるんですから

「ご冥福をお祈りします」

=あの世で幸せになれますよう祈ってます。

「・・イヤイヤ、てことは幸せになれない可能性があるって事かい、オイオイ」

「浄土真宗では亡くなった人は皆等しく極楽で幸せになるって決まっとるんですけど、変なこと言わないで」

と、こちらもそんな意地悪なことは思わないでしょうが

宗教的には、ちょっとね~となります。

無難なところとしては

「心からお悔やみ申し上げます。」

「この度はご愁傷様でございます。」

弔電など文章の場合は

「ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます」

「ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます」

「~様のご訃報に接し、心から哀悼の意を表します」

神 道

神道

神道のお葬式は、故人を家に留めて守護神とするための儀式です。

亡くなった方は神さまになるわけですから、冥土には行きませんし、幸せを願う必要も当然ありません。

冥福は仏教用語ですし

そのほかにも神道の場合には使わない用語としては

成仏:亡くなった方は神さまになるのであって仏様にはならないです。

供養:供養とは仏様にお供えものをする事になります。

香典:神道ではお香は焚きませんので不祝儀袋の表書きには「御霊前(おみたままえ)」「御神前」「御玉串料」などと書きます。

神道の場合は、「御霊(みたま)」という言葉を使い、「御霊のご平穏をお祈りいたします」とします。

ご冥福の意味は別としても「ご冥福」を使う場合の注意

ご冥福は弔電や文書に使う

文語と口語

現代では言文一致で口語と文語の違いを気にすることは少なくなってきており、さらに両者の垣根は曖昧になってきていますが

「ご冥福」は基本的には文語になります。

ですから、通常は弔電や文書の中で使う言葉という事になります。

このため、口頭で「ご冥福をお祈り致します」というのは

ダメだとは言いませんが「はなし言葉」としては少し違和感が出てもおかしくないわけです。

ご冥福は亡くなった本人に対して使う

家族に冥福を話している人

時々「ご冥福」の意味をよく分かっていない人が

残された家族に向かって、機械的に

「ご冥福をお祈り致します」

なんて言うか言わないか分かりませんが

「ご冥福」は亡くなった方に対して述べる言葉ですから

ご冥福の対象を、ハッキリ故人であることが分かるような言い方をするようにしましょう。

「○○様(故人の名前)のご冥福をお祈り致します」など

また、こんな人はいないかとは思いますが、間違っても

「ご家族様のご冥福をお祈り致します」

ってやらないで下さい(>_<)

「私らはまだ死んどらんがね(`ε´)」

となってしまいます。

冥土の土産について

冥土の土産

「冥土の土産に○○をしておく」

というような言葉が使われることがあります。

一般的には単に死ぬ前に、気がかりであった事や、1度はやっておきたい、経験しておきたいということをやるというような意味で使われますが

前の方で説明したように

冥土は地獄などの三悪道の事を指す場合があります。

つまり、

「私は普段、不信心で極楽には行けそうもないから」

「せめて生きているうちに、やっておきたいことや経験しておきたいことをおこなって、心置きなくあの世に行きたい」

というような、ある意味、謙遜した意味合いが含まれている場合もあります。
(特に落語や昔話など)

まとめ

ご飯の前にいただきますと言ってる子供

ご飯を食べる前に言う「いただきます」には

あなた(動物や植物)の命をいただきますという気持ちが込められていますが、現代においてそのような事を考えて「いただきます」を言ってる人はほとんどいないでしょう

同じように

「ご冥福をお祈り致します」も単に亡くなった故人を追悼する言葉として定着していますから

「冥福」を問題にする人はまずいませんし

「冥福」という言葉を使っても問題無いという人がほとんどです。

ただし、宗教や宗派により、あるいは仏教に詳しい人の中には

「違うんだけどな~」

って、心の中で考える人がいるのは確かです。

そこのあたりを理解した上で「ご冥福」を使うも良し

ケースバイケースで気を付けて使用する、あるいは使わない、のも個人個人の考え方だと思います。

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