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妊婦さんは本当に玄米を食べない方が良いのでしょうか

健康
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玄米は栄養も豊富で、健康のことを考えると玄米食にしたいと考えている人も多く、特に妊娠している女性なら、自分の健康も保ちながら、赤ちゃんにもしっかり栄養を蓄えてもらいたいと考えていると思います。

ところが玄米にも、色々なデメリットや危険性が有り、たくさん食べない方が良いという話も聞きます。

実際のところはどうなのでしょうか、玄米は食べた方が良いのか、それとも何らかの危険性があるから控えた方が良いのか、そういう疑問に答えてみたいと思います。

 

玄米食のメリットとデメリット

まずは最初に玄米食のメリットとデメリットをまとめてみたいと思います。

玄米食のメリット

繊維質が豊富でお通じが良くなる

玄米の糠の部分には繊維質が豊富に含まれています。

線維は便の「原料」ですから、良質な線維をたくさん摂ることで、便が量産され、腸内の便を押し出すプレッシャー(圧力)が高まり、グングン押し出されることで当然お通じが良くなります。

 

妊婦さんは、どうしても便秘になることが多いので、お通じが良くなるというのは、結構メリットだと思います。

時たま、胃腸が弱い方で消化不良を起こして、下痢になったり、あるいは一時的に便通が悪くなるという例もあるようですが、基本的に玄米は便通を良くします。
(玄米が消化しにくい食べ物だということは後述)

 

玄米

 

玄米には各種ミネラル、ビタミンが豊富に含まれる

玄米には各種ミネラル、ビタミンが豊富に含まれます。

 

白米に比べて特に多く含まれる栄養素としては(2倍以上)
・カリウム   2.6倍
・マグネシウム 4.8倍
・リン     3.1倍
・鉄      2.6倍
・マンガン   2.6倍
・ビタミンB1 5.1倍
・ビタミンB2 2.0倍
・ナイアシン  5.3倍
・ビタミンB6 3.8倍
・葉酸     2.3倍
・食物繊維   6.0倍

 

などとなっていて、ミネラルやビタミンが豊富に含まれていることがよく分かりますね。

 

江戸時代に、参勤交代で江戸にやってきた人がよくかかった病気に脚気(当時は江戸わずらいと言った)がありました。

江戸は人口が多く、ご飯を炊くときの燃料となる薪などが不足しており、炊くのに時間がかかる(=たくさんの燃料を必要とする)玄米ではなく白米を食べていたというのが原因になっていました。

白米ばかり食べていると、ご存じの通りビタミンB1の不足から脚気になりやすくなります。

 

ところが参勤交代が終わって地方に帰って玄米を食べるようになると脚気(江戸わずらい)がウソのように治ってしまったとか

いかに玄米が栄養豊富か分かるエピソードです。

 

妊娠すると特にこれらの栄養素が不足しがちですし、胎児のすこやかな成長にミネラルやビタミンは欠かせませんから、この栄養素が豊富というメリットは大きいと思います。

 

ダイエット中の女性

 

ダイエットに効果がある

玄米は白米に比べてカロリーが少し低いうことと、それ以上に消化しにくいという特徴があります。

このため玄米は、よく噛んで食べる必要があり、よく噛むということは唾液などの消化酵素がしっかり分泌され、

さらによく噛むことによって満腹中枢も早めに満足させられることから、食べる量そのものが少なくなることが期待できます。

また、消化しにくいということはそれだけ腹持ちが良くなりますから、お腹が減りにくいというメリットも有ります。

 

妊婦さんの場合、たくさん栄養を取らないといけないから、それはデメリットじゃないという考え方もあるかもしれませんが(^_^;)

今時の、栄養過多の時代、よほど食の細い女性でなければ心配するほどでもないと思います。

 

デトックス効果がある

玄米にはデトックス効果があります。

その仕組みを簡単に説明すると

玄米に含まれる成分にフィチンという物質があります。

 

フィチンはマグネシウムなどの微量要素と強く結びついていますが、体内に入るとこの微量要素と切り離されてフィチン酸という物質に変化します。

このフィチン酸はマグネシウムなどの有益な微量要素ばかりでなく、重金属など身体に悪影響を与えるような物質ともよく結びつきます。

 

ですからフィチン酸は体外に出るときには、マグネシウムばかりでなく有害な重金属などとも結びついて再びフィチンという物質に変化し排出されます。(この時に結びつく物質はランダムで特定の物質と結びつくということではありません)

 

つまりフィチンは、体内に入るときにマグネシウムなどの有益な物質と結びついた形で体内に入り、

体外に排出されるときに、体内に入ったときと同じようにマグネシウムなどと結びついて排出される場合もありますが、フィチン酸はランダムに微量物質などと結びつきますから、身体に有害な重金属などと結びついて排出されることもあります。

 

結果的に玄米(フィチン)を食べることで、通常では体外に排出されにくく、蓄積しがちな有害物質の体外への排出が促進されることになります。

注:フィチン酸が微量要素を体外に排出してしまい有害であるという謝った俗説については、後の方で解説します。

フィチンの構造

フィチンにデトックス作用がある仕組み

 

ということで、玄米を食べることで、身体に有害な物質の排出が促されること、あるいは便通が良くなることで、腸などにたまった有害物質もどんどん排出されるということで、癌などを始め様々な病気になる原因物質を減少させることが期待できます。(デトックス効果)

 

特に妊婦さんの場合は、体内から排出されにくい有害物質は胎児に蓄積されることが多いので、その点でも玄米は有益な食べ物であると言えます。

公害(重金属などが原因)の水俣病などでも、玄米を食べていた人は比較的、症状が軽かったという話も残っています。

 

赤ちゃん

慣れると香ばしく美味しく感じる

玄米独特の香ばしさや歯ごたえに慣れると、逆に白米が物足りなく、あたかも糊でも食べているように感じることもあります。

ただし、つわりの酷い妊婦さんは白米が炊ける臭いでも気持ち悪く感じることがあるそうですから、この点に関してはケースバイケースです。

 

玄米のデメリット

独特の臭いと、硬さ、食べにくい

玄米のメリットで香ばしさや歯ごたえという点を上げましたが、人によっては(特に慣れない玄米を食べ始めた人など)臭いが気になる、色が茶色っぽくて見た目も悪く、固くて食べにくいなどと感じる人もいるかと思います。

 

玄米

 

消化しにくい

これは玄米の最大のデメリットかもしれません。

消化の良い食べ物や白米になれた人、胃腸の弱い人だと玄米を上手く消化できずに胃もたれしたり、下痢や、一時的な便秘などになる場合があるようです。

 

ただ、玄米は消化が悪いので100回以上噛んでから食べろなどという人がいますが、最近の炊飯器で玄米モードで炊飯すれば、そこまで大げさなことはしなくても良いと思います。

そういう事を言う人は、実際に玄米を食べたことが無いのでは無いかと勘ぐってしまいます。

 

水分量を間違えなければそれなりにふっくら炊きあがりますし、私個人的には白米とほとんど代わらない感じで食べています。

もっともこれには個人差もあろうかと思いますので何とも言えません。

 

残留農薬

玄米には白米よりも残留農薬が多いので注意が必要だとよくいわれます。

残留農薬の80%は糠の部分に含まれていますから、糠の部分を取り去る白米に比べて玄米に含まれる残留農薬はかなり多くなります。

ということで、玄米を食べるなら無農薬米にしろという人も多いです。

 

ただし、お米の残留農薬の安全基準は玄米の状態で測定した基準で、しかも数十年にわたって通常では考えられないような大量の玄米を食べ続けた結果、わずかに影響が出る量の数十分の1程度を安全基準としていますし

もちろん実際に検査で検出される残留農薬は安全基準よりかなり低いのが普通です。

 

さらに、お米(玄米)は主食ということで他の野菜などに比べて、かなり厳しい基準が設けられています。

玄米の残留農薬にこだわって、その何倍も基準の甘い他の食べ物を気にせずに食べるというのも、矛盾していると思います。

 

稲穂

因みに厚生労働省のサイトで残留農薬の安全基準を見てみたところ

玄米や野菜などには個別に数十種類の農薬の残留基準が設けられていて、共通する農薬のごく一部を抜粋すると

玄米   大豆   キャベツ
γ-BHC        0.3  1.0  2.0
アゾキシストロビン   0.2  0.5  5.0
アミスルプロム     0.05 0.3  3.0
単位(PPM)

 

上記は表の上の方からたまたま目に付いたものを抜粋したもので、成分によっては大豆やキャベツの方が基準が厳しいもの、基準が同じものも存在します。

ですから、玄米の残留農薬にこだわることにどれだけの意味があるのか疑問です。

 

そうはいっても無農薬にこだわっている人もいますし、気持ちの問題ですから、どうしても残留農薬が気になるけれども玄米が食べたいというような人は無農薬の玄米を選ぶという選択肢もあります。

 

異物混入

異物といってもホコリやゴミなど、食べても別に害はないものですが、きれい好きな人だと気になると思います。

スーパーなどで販売されている玄米であればほとんど気になりませんが、個人的に農家などから譲り受けたものなどですと、結構、ホコリやゴミが混入している場合がありますから、炊飯の前には充分洗ってからご飯を炊いた方が良いかもしれません。

 

玄米に関する都市伝説、俗説に騙されないように

玄米は、古来から日本人が主食にしてきた食べ物なのですが、結構問題があるように主張されている人が多いようです。

この中には都市伝説、俗説に近いものが散見され、根拠のないものや曲解しすぎているものもあるようです。

玄米には発芽毒が含まれているから発芽させてから食べるべき

玄米はもみ殻の部分は取れていますから、種としての力は残っていないように思っている人もいますが、玄米を水に浸しておくと、よほど酷い環境で管理されていたものでない限り、芽が出てきます。

つまり、種として生きている状態なわけです。

 

玄米が発芽したところ
玄米を水に浸しておくと芽が出てきます。

 

そして、玄米が稲の種として発芽する胚芽の部分にはアブシジン酸(発芽抑制物質)が含まれていて、このアブシジン酸は人体に有害な物質(発芽毒)だから、玄米を発芽させてから食べるべきだという意見が多くあります。

注:アブシジン酸(発芽抑制物質)は、種が発芽する環境でも無いのに勝手に発芽して涸れてしまうことを防ぐために、発芽を抑制する成分です。

 

ところがこのアブシジン酸は玄米だけで無く種子性の食べ物、大豆、ピーナッツ、アーモンド、トウモロコシ、豆類などにも含まれています。

様々な種子性食物がある中で、なぜ玄米だけにこだわるのでしょう。

ピーナッツ

 

このアブシジン酸(発芽毒)は必ずしも身体に良いものではありません。

ただ、それほど気にするべきものなのでしょうか。

 

2000年にわたって日本人が食べ続けてきた玄米

発芽毒のことを気にするなら大豆やピーナッツの場合は気にしないのか

ピーナッツの先っぽの胚芽の部分、そこだけ取りだして食べるとちょっと苦いけど、多分あれは有毒?な部分だと思います。

 

その他にも野菜などにも食べると苦い部分がありますが、これらも多分有毒?な成分が含まれているはずです。

あるいは発芽玄米にすればいいという意見も、そもそもアブシジン酸は発芽した瞬間に全部無くなるわけではなく、徐々に消滅していくものですから、発芽玄米にしたとしてもアブシジン酸(発芽毒)はそれなりに残っているわけで

私個人的には発芽玄米を販売している人が言いふらした宣伝文句では無いかと疑っています。

 

また、発芽玄米にするとギャバが3倍に増えるといわれていますが

注:ギャバ
体内で主に抑制系の神経伝達物質として脳内の血流を活発にし、酸素供給量を増やしたり、脳細胞の代謝機能を高める働きがあり、血圧降下、中性脂肪低下、内蔵機能向上、神経沈静効果などが注目を集めています。

食べ物に含まれるギャバの量(100gあたりmg)

トマト    63
ジャガイモ  35
ナス     20
キャベツ    8
ミカン    29
発芽玄米   10
玄米      3
白米      1

別に、特に発芽玄米にしてギャバを摂取しなくても、他にも豊富に含まれる食べ物はいくらでもあるので気にするほどのものではないかと思います。

 

ギャバが豊富に含まれるトマト

それでもどうしても気になる人は、最近の炊飯器なら炊飯時間が2~3倍ほどになりますが、発芽玄米までは行きませんが、玄米活性モード(機種によってはギャバ増量モード、熟成モード)などの機能が付いているものもあるほか、

本格的に発芽玄米モードが付いている専用の炊飯器もあります(炊飯時間は半日ほどかかります)

 

玄米に含まれるフィチン酸のキレート作用によりミネラル不足になる

記事の前半でも説明しましたが、フィチン酸は分子的には非常に不安定な状態で、ミネラルなどと強い結合作用(キレート作用)が働きます。

 

ですが逆に言えばフィチン酸は非常に不安定な状態ですから、自然界にある場合は直ぐにミネラルなどと結合してフィチンという物質に変化します。

 

玄米に含まれるのは当然物質として安定しているフィチンです。

ですから玄米を食べたときにはミネラルなどと結合した状態で体内に入り

体内に入るとミネラルを「放出」してフィチン酸に変わります。

 

体内から出るときにはキレート作用が働いてミネラルと結合してフィチンとして排出されますが、少なくとも体内に入ったときと出るときではプラスマイナス0な訳です。

あるいはミネラルの代わりに有害物質と結びつく場合もありますからミネラルが残って、有害物質が排出されるというメリットもあります。

 

ただし、極端な例でミネラルが不足する可能性を説明すると

例えば玄米のフィチンに含まれるミネラルがA、B、C、Dだとして、ある人が、偏食などによりEというミネラルが極端に不足していた場合

フィチン酸はランダムにミネラルと結合しますから、不足しているEと結合して排出され、その結果その人の体内からEというミネラルが不足するということは理屈的には考えられます。

特定のミネラル不足の人がフィチンによってさらにミネラル不足になる場合

とはいっても、現代のように栄養分を豊富にとれる時代に、玄米のキレート作用で一部のミネラルが不足すると言うことはほとんど考えられませんし、仮にあったとすれば、それは玄米のキレート作用を心配する前に、そのミネラルの摂取が極端に不足している問題ではないでしょうか。

 

妊娠している人が玄米を食べても良いのでしょうか

玄米食にはメリットデメリットがあることがお解り頂けたことと思います。

 

注目すべきは体内にある重金属などの有毒物質を排出してくれること。

特にこれらの湯外物質はお母さんの体内にある場合、胎児の身体に蓄積されやすいと言うことからすると、かなりのメリットと考えていいと思います。

 

かって工場排水に含まれる重金属などによる公害(水俣や神通川のイタイイタイ病)などにおいて、玄米食の人に被害が少なかったという観察結果からも玄米のデトックス効果が期待されます。

 

また妊娠すると悪化しやすい便秘の解消にも効果が期待できます。

ただし、玄米食に慣れない人がいきなり玄米を食べ過ぎると胃腸を壊して栄養不足になったり体調を崩したりという可能性はあります。

 

普段から玄米食の人なら、気にせずに玄米食を続ければ良いのでしょうが、妊娠した女性がいきなり玄米食を始めるというのもリスクがあります。

その辺りをよく考えて、おかゆにして、最初は少量から始めるのも良いかもしれません。

あるいは、胃腸の弱い人なら無理をして玄米食を始める必要が無い場合もあるでしょう

 

赤ちゃん

まとめ

玄米食のメリットデメリットをよく考えて、ご自分の体調などに相談しながらどうするのか決められたら良いでしょう。

妊娠したから玄米食をやめる必要もありませんし、逆に無理に始める必要も無いというところだと思います。

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